暖冬でも爆売れ、山善の「着る電気毛布」 数万件のレビューを分析して見えた改善点(2/4 ページ)
電気代の高騰による節約意識の高まりから、節電タイプの暖房器具が注目を集めている。家電メーカーの山善が手掛ける暖房アイテム「くるみケット」もその1つだ。開発担当者の加美将希さん(同社家庭機器事業部)に話を聞いた。
数万個の在庫が一瞬で完売
こたつに機動性を加えた暖房アイテムを実現するため、加美さんは電気毛布に着目した。「一般的な電気毛布の多くは、長方形のシンプルなデザインです。そのため、ベッドに敷いたりひざかけとして使用したりする方が多く、用途が限られている印象がありました」(加美さん)
どうすれば、電気毛布のイメージを覆すことができるのか。「新しい形や使い道で『何これ⁉』と思われる電気毛布を開発すれば、 中高年を中心としたすでに電気毛布を使用しているユーザーや、使用したことがない若年層にも刺さると考えました」(加美さん)。当時、加美さんは商品開発の担当になったばかり。そのため既存の商品に対して、新任者ならではの視点を持つことができ、電気毛布の問題点に気付けたと振り返る。
開発時には一からデザインを見直し、従来の電気毛布にない筒状の形状を採用。こたつに入っているときの温かさと、着たまま動ける機動性を両立した。
一方で「着る」に特化しすぎないことにもこだわった。「着ることに特化するとユーザーの使用シーンを限定してしまいます」(加美さん)。試行錯誤の結果、サイドファスナーを設けたことで、着る以外にもごろ寝用やひざかけ用といった3WAYでの使用を可能とした(意匠取得済)。
また、軽い着心地を実現するため、ヒーター内蔵型を採用。部品点数をギリギリまで少なくし、軽量化に成功した。清潔に保てるよう、洗濯機(ドラム式は不可)での丸洗いも可能とした。
約半年の開発期間を経て22年9月に初めて発売したところ、「こたつにくるまれているような感覚が味わえる」「着たまま動いて家事ができる」と人気を集めた。同社の予想を上回る売れ行きを記録し、用意していた数万個の在庫はあっという間に完売した。
発売前、社内からは懐疑的な声もあったという。「弊社では数十年近く電気毛布を展開してきましたが、くるみケットのような商品は初めてでした。そのため『こういうアイテムを売り慣れていない』『売るとしても、EC向きなのでは?』といった意見もありました」(加美さん)。だが、発売前の5月、サンプルを展示会に出品したところ、取引企業の多くから好意的な意見が集まり「これは売れる!」と自信につながったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
SNSから人気拡大、ニトリ「スマホ毛布」 若者向けに開発も、意外なユーザーから支持
電気代の高騰による節約意識の高まりから、消費電力が大きいエアコンを使用しなくても温かくなれる商品が注目を集めている。こうした節電ニーズとスマホを組み合わせて生まれたのが、ニトリの「スマホ毛布」だ。
1枚で温かい、ドンキの「羽織る魔法瓶」 開発者が気付いた「重ね着」の盲点とは?
寒い季節には、インナーやセーター、コートなど、たくさんのアイテムを着込むのが一般的だ。しかし、ドン・キホーテは重ね着しなくても1枚で温かい“羽織る魔法瓶”のようなアイテムを開発。“当たり前”を覆そうとしている。開発の背景を聞いた。
ドンキの「着るこたつ」が「動けるこたつ」に進化! 物価高なのに、2000円値下げできた意外なワケ
ユーザーからの“ダメ出し”をもとに改良したところ、結果的に値下げにも成功した商品がある。ドン・キホーテで今年10月から発売している“着るこたつ”こと「動けるこたつウェア」だ。
職人しか買わないはずでは? ワークマンの“着るこたつ”が若い女性にも支持されているワケ
日に日に寒さが厳しくなり、防寒アイテムに注目が集まっている。こうした中、好調な売れ行きを見せているのが、ワークマンの“着るこたつ”ことヒーターウェア「WindCore ヒーターシリーズ」だ。
大ヒットしたスポドリ「DAKARA」はなぜ麦茶に? 社内の反対を押し切った起死回生の一手とは
サントリー食品インターナショナルが発売したのが「ライフパートナーDAKARA」。人気商品に成長したダカラだったが、その後低迷。起死回生の一手として、スポーツドリンクらしからぬ転身を図った。




