常温缶が「生ビール」に 爆ヒット「サントリー生ビール」開発部署が繰り出す次の一手:1分足らずで急速冷却(3/5 ページ)
2023年に発売し、大ヒットを果たした「サントリー生ビール」。同商品を企画・開発した部署から、新たなサービスが出ている。その名も「nomiigo(ノミーゴ)」。常温の缶ビールが、わずか1分足らずに「生ビール」へと変貌する仕組みのビールサーバで、アフターコロナ需要を狙う。
常温の缶ビールがあっという間に冷える
nomiigoは、主に小規模の飲食店向けに開発したビールサーバ。ユニークなのが、従来のサーバは「樽」に入ったビールを使っていたのに対し、nomiigoではザ・プレミアム・モルツの350ミリリットル缶を使う点だ。常温の缶をセットしてボタンを押すと、自動で開栓。ものの数十秒で、内部で冷却されたビールをジョッキに注げるようになっている。店舗には、ザ・プレミアム・モルツの缶を取引中の酒販店から購入してもらうことを条件に「貸与」の形で提供する。
サントリーがnomiigoを開発した背景には、コロナ禍以降の消費者トレンドがある。
「コロナ禍が落ち着きを見せて外食ニーズも復活する中で、量より質を求める方が増えました。特にビールを楽しむ若年層にその傾向が顕著で、当社が取り組んできた店頭での高品質な生ビールを、より多くの人に楽しんでもらいたいと開発に至りました」(多田氏)
サントリーでは「飲用時品質」を重視している。店舗で飲んだ際のおいしさや感動が、その後に家庭などで飲む商品として選ばれるきっかけになるという考え方だ。これまでも同社のビールを提供する店舗に、おいしい注ぎ方など最適な提供方法をレクチャーしてきた。現在、主力であるザ・プレミアム・モルツブランドを「樽生」としてサーバで提供する店舗は全国に約7万を数える。
サーバ用のビール樽は開栓すると品質を長期間維持できないことから、3日以内の使い切りを推奨している。樽の容量は10・15・20リットルが基本で、小規模で飲酒がメインでないような飲食店ではさばきにくい。そのため、例えばラーメン店などではサーバではなく缶・瓶でビールを提供しているケースも多かった。そこで、缶単位でも従来のビールサーバで提供してきたクオリティーの1杯を出せる仕掛けとして、nomiigoの開発を始めた。
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