SFAが「レポートツール」になり下がる 使いこなせない営業組織が持っていない視点(1/3 ページ)
日本企業の営業組織でも「セールステック導入」が一般的になってきた。しかし使いこなせていない組織が多いようだ。SFAを導入したのにただのレポートツールに成り下がっている話も聞く。セールステックを効果的に活用するためにはどうすればいいのか、解説する。
営業活動の効率化やデータ強化を目指してSFAやCRMなどのセールステックを導入する企業も増えてきた。そのためか「セールステックを入れたのに効果が出ない。どこに問題があるのか?」と悩む企業も増えているようだ。
この記事ではその答えを明示して、具体的な対応策を解説する。
SFAだけでは効果は出ない 営業組織に足りないのは?
セールステックの効果が出ないのは、結論「SFAしか入れていない」からだ。SFAとは営業情報の管理システムで、企業・案件・担当者などの情報を管理できるサービスを指す。
理想はこのSFAのデータを見ながら営業アクションを改善していくことだ。しかし、実態としては、大手を中心に多くの企業でSFAは会社内のレポートツールに成り下がっている。なぜ、そうなってしまうのか?
理由は、SFAから会社の売り上げは分かるが、具体的に営業がどんなアクションをすればいいかは分からないからだ。営業データを読み解いて、それにつながる営業アクションを考えるのは相当のデータリテラシーがないと難しい。そのため、営業会議でSFAを見るも、行動量を上げようという話に終始し、結果何も対策をしていないのと変わらない状態が続いてしまう。つまり、営業組織の「イネーブルメント(改善や向上)」に何もつながっていない。
営業の仕事は、顧客に提案し、その提案を顧客が社内で通すのをサポートすることだが、SFAを入れただけでは、その工程に何のポジティブな影響も与えられない。営業担当や顧客の具体的なアクションにつながらないのであれば、営業現場からするとSFAは入力が面倒くさいだけのツールである。入力する意味も分からず、上司に言われるがまま雑に記録する営業担当は数多い。
言われるがままにSFAの入力を頑張り、結果として営業データが可視化されても、営業現場でのアクションが変わらないという不健全な状態は不満を貯める。今の日本企業はそんな営業組織であふれている。
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