高速道路SAPAの「有料化」案 しわ寄せで何が起こるのか:高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)
高速道路のサービスエリアとパーキングエリアについて、混雑緩和を目的とした有料化の検討について報じられた。しかし、有料化にはデメリットも多い。駐車スペース拡充や通行料金の見直し、トラックドライバーの地位向上などについても考える必要があるだろう。
高速道路料金「無料化」は棚上げに
近年、高速道路のSAPAは利用者を満足させようと建て替えや設備の充実化を進めている。
NEXCO各社はハイウェイオアシスを含めてSAのエンタメ化を進めてきたが、有料化となれば利用のハードルは一気に上昇する。ショッピングモールや道の駅などクルマで訪れて楽しめるスポットのライバルは増えているだけに、高速道路を利用してもSAPAにお金を落とさないようになっていくのではないだろうか。
やはりSAPAを有料化するなら、それに合わせて高速料金を引き下げるべきだろう。SAPAを利用しない人の負担が減って、短距離での利用もしやすくなる。ましてや有料化のためにコストが増大するのでは本末転倒だ。
全国にある道の駅は、今や大人気の観光スポット。飲食や土産物の購入だけでなく、休憩のために立ち寄るドライバーも多く、SAPAが有料化されればさらに強力なライバルとなるだろう(写真:Kana Design Image - stock.adobe.com)
高速道路料金は、建設費用だけでなく今後メンテナンスに必要な費用を上乗せして償還期間を50年も延長し、ほぼ永遠に無料にならないことが明らかになった。無料化を目指すのではないのなら、料金をグンと下げて国民の負担を軽減してもいいのではないだろうか。
安くするとますます利用者が増えて渋滞やSAPAの混雑がひどくなる、という見方もあるだろう。しかし、利用者が増えれば単価は安くても売り上げは増加し、収益も確保できるはずだ。
SAPAの利用を制限する方法は、次のSAPAへの移動を促すスタンプラリーなど、エンタメ化の延長としてゲーム性を盛り込むこと、また、いったん一般道に降りても初乗り料金が掛からないようにETCの料金設定を改めることなどによって、ある程度の効果が見込めるのではないだろうか。
関連記事
- マツダの「MX-30 ロータリーEV」 現時点で“EVの最適解”と言えるワケ
マツダがロータリーエンジンを復活させたことで注目される「MX-30 ロータリーEV」。ロータリーエンジンを発電に使うこのクルマは、MX-30のEVモデルとは別物の乗り味だが、日常で使いやすい仕様になっている。今後のEV普及に向けて、現時点で「最適解」と言えそうだ。 - なぜクルマは高くなってしまったのか 高額化に恩恵を受ける人も
自動車の価格がどんどん高くなっている。製造コストや開発コストの増大に加えて、先進装備の充実や安全性向上も求められているからだ。メーカー、ディーラー、そしてユーザーにとって、高額化はどのような意味があるのか。 - 教習所のクルマが旧態依然としているワケ 教習車ならではの事情
運転免許取得のために通う自動車教習所で使われるクルマには、EPB(電動パーキングブレーキ)などの先端装備は搭載されていない。教習内容を厳格に定められている教習所ならではの事情があるからだ。教習車に求められている要素とは? - なぜガソリンの価格は分かりにくいのか 値引きの仕組みが複雑な理由
ガソリンスタンドの価格が分かりにくい。店の看板がいくつもあったり、値引きも複雑であったり。なぜこのような仕組みになっているのかというと………。 - 日本のキャンピングカー文化は定着するのか
キャンピングカー市場が伸びている。街中でもよく見かけるようになったが、なぜ購入する人が増えたのだろうか。今後の行方は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.