高速道路SAPAの「有料化」案 しわ寄せで何が起こるのか:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
高速道路のサービスエリアとパーキングエリアについて、混雑緩和を目的とした有料化の検討について報じられた。しかし、有料化にはデメリットも多い。駐車スペース拡充や通行料金の見直し、トラックドライバーの地位向上などについても考える必要があるだろう。
混雑緩和のために別の方法を
つまり有料化は、利用者にとって利便性を下げるだけの愚策でしかない。SAPAを気軽に利用できないなら、高速道路を使わず、コンビニやファミレスを気軽に利用できる一般道を使うドライバーも出てくるかもしれない。
もちろんクルマでの長距離移動であれば、高速道路の利便性は揺るがない。しかし、高い高速道路料金とガソリン代に加え、SAPAの長時間利用も有料となったら、クルマではなく電車や航空機を使って移動し、現地でレンタカーを利用する人が増えるのではないだろうか。
混雑緩和のためには有料化ではなく、別の方法で混雑を解消することを考える方がNEXCO各社にも利用者にもメリットがありそうだ。
乗用車とトラックでは、SAPAの利用ピークタイムが異なることから、どちらにも使える兼用マスの設定も進められている。それでも絶対的な駐車マス不足は否めない。
地形や取得した土地の状況にもよるが、傾斜地などで敷地利用を諦めているところならば、整地することで駐車場を拡大できるはずだ。従来であれば、十分なスペースを確保しているという想定だったのだろうが、実際には不足しているのだから拡大することを検討すべきだろう。
実際、新東名高速の清水PAは23年12月25日に駐車マスを拡充しているし、24年1月9日には駿河湾沼津SA上り線の駐車マスも大型車11台分を増設している。
この原稿を書いている時点でも、東名高速のリニューアル工事で静岡県区間の上り線の一部が夜間通行止めとなることで、その区間のSAPAが利用できないことへの対策として、新東名の新清水ICの料金所付近に臨時駐車場を設けることが発表されている。
現時点でも本線上に設置された休憩施設混雑表示板でSAPAの混雑情報は得られるが、より広範囲への情報提供や、空いているSAPAへ積極的に誘導するように表示や案内を高度化することも混雑への対策になるだろう。
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