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「シラコンバレー」の異名も 和歌山にIT企業が続々進出、なぜ?:未来の商機は地方にあり(3/4 ページ)
和歌山県に近年、IT企業が相次ぎ進出している。直近の約5年で20社が拠点を設置。企業誘致を本格的に始めた2001年当初は、誘致に成功しても長続きしないケースもあったという。県は過去の反省を生かし、どのように改善を進めていったのか。
誘致を左右する「視察工程」どう組む?
企業の視察工程はどう組んでいるのか。
県では、主に日帰りと1泊2日の2プランを用意している。日帰りプランは、県内の1自治体のみの視察、1泊2日プランは、和歌山市と白浜町など2自治体以上の視察を想定している。企業側の要望によって2泊3日などのプランも対応する。
視察には、視察先の自治体担当者と県の担当者が同行する。企業側の要望を事前に聞き取り、視察先をアレンジする。例えば、現地で人材採用に関する情報を求めている企業の場合は大学や高専など、県内の教育機関との意見交換の場をセッティングする。
また、既に進出している企業との意見交換の場を設けたり、希望に沿ったオフィス物件なども案内したりする。
視察にかかる交通費や宿泊費は企業側の負担となるが、視察すると1社につき最大4万円分のギフトカードを進呈するキャンペーンなどを実施している。
「都道府県によっては、視察先や工程を決めるのを、企業側に全て任せているところもあると聞く。県では企業側の要望を丁寧に聞き取り、手厚い受け入れ体制を取っている」と西山さんは話す。
また、進出を決めた企業への奨励金制度を設けており、創業10年未満のベンチャー企業では最高3億円、大規模オフィスの移転で100人以上の転入雇用を実現する場合には、最高10億円をサポートする。
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