2020(令和2)年度の鉄道の定期券利用者について、首都圏の私鉄を見てみよう。運賃占有率も示す。出所は『数字でみる鉄道2022』(国土交通省鉄道局著、運輸総合研究所刊)による。
どの鉄道もだいたい似たような数字、といってしまえばそれまでである。定期券での収入は、輸送人員のことを考えると低めに出ているように思えるが、これは定期券の割引率が高いことによる。とくに、通学定期券の安さというのが大きく影響していると考えていい。
鉄道会社ごとに見てみよう。
まずは東武鉄道である。東武鉄道は、東京・埼玉・千葉・栃木・群馬の都県に広大な路線網を有し、有料特急も走らせているものの、輸送人員の定期占有率も運賃収入の定期占有率も高い値を示している。つまり、有料特急や「SL大樹」の存在は、輸送人員や運賃収入の面から考えると、大きなものではないということである。
東武沿線には多くの人が暮らしており、その人たちが都心への通勤に利用することが多いという形態になっている。また、栃木県や群馬県のローカル区間では、高校生たちが通学に使うというのもよく見られることだろう。
西武鉄道も東武鉄道と同じく、有料特急がある鉄道だ。しかしそれでも、定期占有率は高い値を示している。西武鉄道の特急は、定期券を利用している人が乗ることが多いと考えられる。東武と同じく通勤・通学の利用が多く、沿線に学校が多いことを感じさせられる。
京成電鉄は通勤・通学輸送と空港アクセス輸送を二本柱としている。ただ、輸送人員の定期占有率を見ると、空港アクセスよりも通勤・通学の利用者の存在感が強いということになる。
京王電鉄と小田急電鉄は輸送人員の定期占有率の割に、運賃収入の定期占有率が低いようだ。このふたつの私鉄は、ずばり通学輸送が大きな柱となっているのではないか。どちらも、沿線に学校が多い。小田急電鉄はロマンスカーでの観光輸送があるにもかかわらず、定期券の占有率が多いのが気になる。
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