東急電鉄は有料特急がないにもかかわらず、輸送人員定期占有率が若干低めだ。一方で運賃収入定期占有率が少々高いのは、やはり通勤・通学で利用する人が多いということだろう。東急沿線は中学受験も盛んで、中高生がよく定期券を利用し、その絶対的人数が多いという見方もできる。
京急電鉄の輸送人員定期占有率は、羽田空港アクセスが同社の経営の大きな柱となっていることを示している。地域の定期券利用者の輸送も大事ではあるけれども、それだけではなく羽田空港へ向かう人の多さが、この会社の鉄道部門の経営に寄与しているといっていい。
そして相模鉄道。定期券での利用者が多く、定期券での収入も大きい。神奈川県のベッドタウンを走る同線は、地域に根ざした鉄道として、ふだんから乗る人が中心になっているという堅実さがわかる。相鉄・JR直通線や相鉄・東急直通線ができたことで、相鉄沿線に住まいを持とうとする人が今後さらに増えていくのではないか。
東京圏の鉄道は、安い定期券の利用者に支えられているというのがよくわかるデータである。
この記事は、『関東の私鉄沿線格差』(小林拓矢/河出書房新社)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
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