「トヨタグループ」連続不正への提案 なぜアンドンを引けなかったのか:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/8 ページ)
2022年の日野自動車を皮切りに、4月のダイハツ工業、明くる1月の豊田自動織機と、トヨタグループ内で不祥事が続いた。立て続けに起こった不正はなぜ起こったか。そして、その原因を考えていくと、トヨタにはこの問題を解決できる素晴らしいソリューションがあるではないか。
子会社であろうと独立した会社だ
この件、報道やネットを見渡すと、「親会社には監督責任がある。悪いことをした子会社の責任は親会社の責任」という批判が少なくない。
そりゃまた随分と紋切り型の批判だと筆者は思う。まあそもそもにおいて、トヨタには関連会社が200社ある。常識的に考えて、その200社をマイクロマネジメントで管理するというのは無理があり過ぎる。まあ正義に依拠するなら「200社あろうが2億社あろうが監督責任はあるのである」ということになるのだろうが、ここではリアルワールドでそれが可能であったのかなかったのかの話をしている。そのためには、善悪の話を一度置かないと原因が分からない。
とりあえず、第一の段階として200社のマイクロマネジメントは無理だ。そこから先、だったら200社も関連会社を作るべきではなかったのではないかみたいな話は次のステージである。ひとまず目の前の分析が先で、責任追及は後回しにする。
もちろん「一般論としての監督責任」があるということは筆者も同意するが、だからといって「その監督責任の行使で不正を防止できなかったのか」という詰め方には、とてもではないが同調できない。
子会社であろうと、それは独立した会社だ。それを連帯責任で処理するならば「子会社は親会社に絶対服従であれ」ということになるし、それは「親会社は子会社を絶対服従させろ」ということになる。上司と部下で置き換えてみれば分かるが、今時そんな個性と人格を無視した話はそれこそパワハラそのものではないか。
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