安否確認ルールの「あいまいさ」、能登地震で浮き彫りに――被災地域の企業のリアル:企業が備えるBCP(1/2 ページ)
元日に発生した能登半島地震。被災した企業はその時どう判断し、日ごろの備えはどう役に立ったのか。リスク対策.comが調査結果を実施した。
元日に発生した能登半島地震。経営層にとっては、平時からのBCP(事業継続計画)の重要性をあらためて認識させられる出来事であったはずだ。
北陸地方の企業は今回の地震でどのような被害を受けたのか、そして事前に策定していたBCPはどの程度機能したのか。危機管理とBCPの専門メディア「リスク対策.com」は北陸4県に自社施設を持つ企業に対して調査を行った。
本稿では調査結果の一部を紹介したい。またリスク対策.comの編集長である、新建新聞社(長野市)の中澤幸介専務から、本調査結果に対するコメントを得た。
北陸4県におけるBCPの策定状況はどうだったか?
能登半島地震において震度5弱以上の揺れを観測した地域の企業のうち、BCPを「策定している」のは50.6%と、約半数という結果となった。うち「定期的に訓練・見直しを実施している」のは19.9%、「非定期的ではあるが訓練・見直しを実施している」のは21.7%、「一度も見直していない」のは9%だった。
企業規模別に見るとさらに実情が分かる。従業員1000人以上の企業のうち、BCPを「策定している」割合は89.8%であるのに対し、従業員101〜1000人の企業は71.7%とやや割合が減少、従業員100人以下の企業は22.4%と著しく低い結果となった。企業規模が小さいほど平時のBCP策定が遅れていることがうかがえる。
BCPは有事に本当に機能するのか?
では実際に今回のような「有事」に直面した時、BCPは本当に機能したのだろうか?
BCPを策定していた企業にその実効性を聞いたところ「機能した」は43.1%という結果となった。また、BCPを定期的に見直している企業ほどBCPが機能したと感じている割合は高いようだ。
関連記事
- 緊急時は“初動”が問われる いま経営層に必要な「リスクセンス」とは
災害対策には、平時からの想定が大切なのは言うまでもない。加えて、災害発生直後にどの程度のリカバリーが必要なのかを瞬時に把握する「リスクセンス」も欠かせない。 - サントリー「天然水」 ブランド名統一の裏に、地震の教訓
サントリーは、BCP対策の一環として20年11月、それまで地域ごとに異なる商品名をつけていた天然水を「サントリー天然水」という名称に統一した。なぜ、自然災害に備えて商品名を統一する必要があったのか。 - 策定しても“機能しないBCP”の実態 能登半島地震で証明された継続的活動の意義
能登半島地震で明らかになったのは「策定しても“機能しないBCP”」の実態だ。本当に機能させるためには何が必要なのか? - テレワーク下の大地震、会社を生き残らせる「3つの新常識」 もはや従来のBCPは通用しない
BCPの常識は、コロナ禍で大きく変わりました。これに伴い、防災計画も大きく変化せざるを得ません。テレワーク下の大地震でも会社を生き残らせる「BCPの3つの新常識」とは? - 大規模災害にコンビニはどう備える? BCP改定の狙い
大手コンビニのBCP(事業継続計画)はどうなっているのか。東日本大震災が発生した3月11日を前にいくつかの事例を調べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.