KDDIは2020年8月からジョブディスクリプションをベースとした「KDDI版ジョブ型人事制度」を施行している。これにより社内には30の専門領域が誕生。その中でも、同社のコア事業であるDXに関わる5つの領域を「DX人財」とし、「KDDI DX University」と称した同社独自の学びの場を提供している。
KDDI DX Universityでは、DX人財を育成すべく“仕事から離れ”勉強に専念するコースもあるのだそう。KDDI DX Universityの開発・運営に携わる経営企画1部の柳沢誠氏と、人財開発部の木村健一氏に、KDDI流のDX人材育成法を聞いた。
インプットするだけのリスキリングは、もう古い
KDDI DX University(以下、KDU)では、同社がDX人財と定める「ビジネスディベロップメント」「コンサルタント&プロダクトマネージャー」「テクノロジスト」「データサイエンティスト」「エクスペリエンスアーキテクト」の5つ専門領域に関する学びの場を提供している。
「この5領域に従事している社員だけでなく、マーケティングや法人営業などDXの知識が必要な社員、また、将来的にジョブチェンジを考えている方もKDUで学べます」(経営戦略本部・柳沢さん)
リスキリングが注目されている昨今、企業内大学を設ける企業も珍しくはなくなってきた。その中でもKDUは、「4Dサイクル」という独自の育成プログラムで研修を設計している特徴がある。
4Dサイクルとは、「Define」「Discover」「Develop」「Deploy」の4つの単語の頭文字から取った造語だ。
「Defineは定義・評価、Discoverは選抜・採用、Developは育成、そしてDeployは配置・活用を意味しています。それぞれの職種に求められるスキルをしっかり定義し、その定義に従って人材を選定。選抜された社員には、大学のように体系的に専門の知識やスキルを学べる機会を提供したのち、KDUで身につけたスキルや経験を生かせる場を提供します。
ただ研修やeラーニングで知識をインプットするだけでなく、学んだことはきちんと業務でアウトプットできるようになってほしい。そんな思いで、研修を設計しています。
当社ではジョブ型の人事制度を新たに採用しているので、リスキリングの結果、各社員の処遇の改善やキャリア実現にもつながると考えています」(柳沢さん)
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