幹部候補生を「3年間で倍増」させる 岡山の老舗SIerの挑戦:勝ち続けるためのリスキリング(2/2 ページ)
幹部候補生を、今後3年間で50人→100人に増やすという。その取り組みとは。
年間70〜80の研修をオンデマンド化
なお、両備システムズは全社員向けの研修にも力を入れている。これまで外部講師を呼んで研修を行っていた形式から、23年1月からベネッセが提供するオンライン動画講座「Udemy」に切り替えた。
「これまで外部の講師を招き、年間で約70〜80の研修を開催していました。ところが昨今、IT技術が進展するスピードが非常に速く、研修会社がカリキュラムに落とし込んでリリースするときには既に遅いというケースもありました。そこでもう少し手軽に学べるようにしたいという事情がありました」(三宅氏)
同社は「キャリアオーナーシップ」という考え方を重視している。これは個人が自身の実現したいキャリアに向けて、主体的に行動することを指す。社員が時間や場所の制限なく学べる機会を提供するために、Udemyを選んだという。
23年1月に導入して以降、社員1人当たりの受講時間は16時間13分。学ぶ意欲を後押しするために、社内のオンライン掲示板で受講時間TOP10や、特に受講時間を長くとっている社員のイニシャルを発表している。
「中期経営計画の中にPM人材、クラウド人材を育成する計画があり、これを推進している部署がUdemyの機能を使って必要なコースをパッケージ化して社員に提供することも行っています。人財戦略部だけでなく、それぞれの事業部の幹部が社員を啓もうする動きも生まれていますね」(三宅氏)
人材育成には「かなりの時間とお金をかけている」(三宅氏)という言葉の通り、充実した教育体制を構築している両備システムズ。IT人材の需要が加速する昨今、外部から高度人材を採用することも容易ではない。人材不足に嘆く前に、自社のカルチャーが浸透している社員にトレーニングの機会を提供するのも近道かもしれない。
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