累計販売5万台超え、ニトリ「ゲーミング座椅子」が好調 コロナ禍生まれのアイデアはどう進化した?(2/2 ページ)
ニトリの「ゲーミング座椅子」が好調だ。シリーズ累計販売台数は5万台(24年3月現在)を突破し、ラインアップの拡充も行っている。
好評を受けて、ラインアップを拡充
ゲーミング座椅子の好評を受けて、同社はラインアップの拡充を図り、23年11月に「回転ゲーミング椅子」を発売した。同商品は、椅子での生活が多い消費者をターゲットに設定。「ゲーミング座椅子のような、1台でPC作業とゲームに対応する一石二鳥の家具を提案したいと思い付きました」(同社担当者)
回転ゲーミング椅子のサイズは、53(幅)×82(高さ)×69(奥行)センチ。背もたれのリクライニング角度を約90度に曲げれば、テーブルとして使用できる。ゲーミング座椅子と同じく、テーブルは14段のリクライニング機能を搭載した。また、逆向きに座ればPC作業やゲームなども可能だとしている。
約1年の開発期間の中で、最も苦労したのは、安定性の確保だという。テーブルが付いていることにより、重心に偏りがでるため、スムーズに回転盤が回らないという課題があった。何度もサンプルをつくり安定性・耐久性の確認を行い、偏りやガタつきがなく、安定した回転盤を仕上げた。
24年1月には「ゲーミング座椅子ワイド レバータイプ」を発売。同商品は、従来のゲーミング座椅子より座面幅・奥行きが9センチ広くなっている。ゲーミング座椅子を利用しているユーザーや社員から「テーブルの付け根があるため座れる面積が限られ、体格が大きい人は座るのに窮屈感がある」「背もたれが低いと、きちんと体がサポートされない」といった声が寄せられたため、開発したという。
開発時には、2つの調整を行った。1つめは、座面の面積を広げることによって、テーブルの高さとの整合性。2つめは、背もたれの高さを伸ばすことによって、折りたたんで梱包するためのサイズ感の整合性。いずれも、サイズを大きくしたことによる転倒防止リスクへを低減する狙いがある。
また、ギアの変更方法も見直した。従来のゲーミング座椅子で採用した「背もたれを後ろまで倒してから調節する」という方法から、「本体の横についているレバーでリクライニング」する方法へ変更し、操作の簡略化を図った。
多くの人から支持されている要因について、同社担当者は「シンプルで使いやすいこと」「ゲームをする人にはもちろん、しない人にも台付き座椅子として使用可能であること」を挙げる。今後の展開について、テーブルの面を木目にしたタイプや、キッズ向けのゲーミング座椅子シリーズを検討中だという。
関連記事
- SNSから人気拡大、ニトリ「スマホ毛布」 若者向けに開発も、意外なユーザーから支持
電気代の高騰による節約意識の高まりから、消費電力が大きいエアコンを使用しなくても温かくなれる商品が注目を集めている。こうした節電ニーズとスマホを組み合わせて生まれたのが、ニトリの「スマホ毛布」だ。 - 「いい意味で人をダメにする」 話題の「ニトリ座椅子」、PC作業とゲームの違いに着目
「快適すぎる」「いい意味で人をダメにする」「一度座ったら立ち上がりたくない」―と、ある家具がSNSで話題を集めている。家具大手のニトリが販売する「ゲーミング座椅子」だ。 - ドンキとニトリが飛びついたチューナーレステレビ 「NHK避け」だけじゃないニーズを考える
チューナーレステレビが話題になって久しい。これまで家電と縁遠かったドンキやニトリが販売するようになり、目にする機会が増えた。話題になる際はNHKの受信料と一緒に語られることが多いものの、真のニーズは違うところにありそうだ。 - 多角化進めるニトリ 2年前に始めた「レストラン」は今、どうなっているのか
2021年にニトリが始めた外食事業。発表から2年以上が経過しており、店舗数は6つまで増えている。一方で、業態は現在3つを展開する。どのような狙いがあるのか。 - 暖冬でも爆売れ、山善の「着る電気毛布」 数万件のレビューを分析して見えた改善点
電気代の高騰による節約意識の高まりから、節電タイプの暖房器具が注目を集めている。家電メーカーの山善が手掛ける暖房アイテム「くるみケット」もその1つだ。開発担当者の加美将希さん(同社家庭機器事業部)に話を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.