コラム
山手線の「発車メロディー」で、“企業の存在”を感じられる駅がある理由:「次の駅まで」に読めるハナシ(3/4 ページ)
JR山手線では、特徴的な発車メロディーを使用している駅がある。なぜそのような楽曲を採用しているのだろうか。
地域に根差した家電量販店のCMソング
大手家電量販店の「ヨドバシカメラ」と「ビックカメラ」はレールサイド戦略に注力していて、主要駅の近くに店を構え、品ぞろえの良さや充実したポイントサービスなどで人気を集めている。
両社の本店がある最寄り駅は、ヨドバシカメラが新宿駅、ビックカメラが池袋駅である。そのため池袋駅の山手線ホームの発車メロディーは、ビックカメラのテーマソングとなっている。ビックカメラは池袋駅のある豊島区とパートナーシップ協定を締結しており、この曲が発車メロディーとして使用開始されたのは、24年3月1日からだ。
池袋駅の発車メロディーにビックカメラのテーマソングが採用された際には、記念セレモニーを実施。ビックカメラ女子ソフトボール高崎 BEE QUEENに所属する上野由岐子投手が1日駅長に就任した(出典:プレスリリース)
山手線の池袋駅は、5番線と6番線が内回り、7番線と8番線が外回りとなっている。うち、普段から山手線の列車が発着しているのはホームドアがある6番線と7番線である。この2線は別々のホームとなる。
現場で聞いたところ、両ホームとも同じ発車メロディーを使用しているようだ。うまく聞き分けられず、ちょっと違うのかもしれないが……。
ビックカメラが池袋駅でこうしたPR活動に力を入れるのは、西武百貨店池袋本店がヨドバシホールディングス出資の投資ファンドの傘下になったことが影響していると考えられる。今後、西武百貨店にヨドバシカメラが入る可能性もある。
ビックカメラとしては、本拠地で負けるわけにはいかないのだろう。池袋駅ホームには、ビックカメラの存在を示すかのように同店のCM曲が流れるのだ。ちなみに、池袋駅での山手線の停車時間は長い。ということは、広告効果も高くなるのだ。
関連記事
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。 - 利用されない指定席券売機 やっぱり「駅の窓口廃止」は間違っている
インターネット予約のおかげで、新幹線の移動はとても便利になった。交通系ICカードと予約情報をひも付ければきっぷは不要。しかし便利なのは移動が新幹線で完結する場合だけで、在来線を乗り継いだり、一筆書き経路では窓口がないとお手上げだ。ところがその窓口が激減している。 - JRの「EXサービス」と「えきねっと」 どこで“差”が付いたのか
同じJRグループのサービスでも、「使いやすい」といわれる「EXサービス」と、「使いにくい」と言われ続ける「えきねっと」。その差はどこにあるのか……。 - 東京で隣の駅が「近すぎる」路線が存在するワケ
東京駅と有楽町駅、日暮里と西日暮里駅のように、都会には、駅間距離が短い場所がある。なぜ、そのような駅の設置の仕方をしたのだろうか。その理由は……。 - 「駅別マンション価格」を可視化したら、住みたい街が見えてきた
首都圏、特に東京23区では不動産価格の高騰が止まりません。「駅を変えれば、町を変えれば何とかなるのでは?」という希望をかなえるべく、中古マンションの価格を可視化してみました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.