「目黒駅」と「中目黒駅」の違いは何か 周辺交通を分析してみた:経済の「雑学」(5/5 ページ)
目黒区の外にある「目黒駅」と、区内にある「中目黒駅」。区内の鉄道、バスの実態はどうなっているのか。周辺交通に乗車し、調べてきた。
中目黒駅周辺とは?
東急東横線の中目黒駅周辺には、さまざまな施設がある。目黒区役所や東京共済病院だけではなく、知的財産高等裁判所の東京地方裁判所中目黒庁舎や、目黒学院の中学校と高等学校などのほかに、防衛省目黒地区といった陸・海・空の自衛隊などが共同使用している施設もある。地域的な拠点性は、こちらのほうが高いのだ。
地域のにぎわいも、目黒駅周辺よりもすごいものがある。筆者が通った時間帯は、目黒駅周辺よりも多くの人であふれていた。
中目黒駅では、筆者が乗ってきた系統とは別の系統のバスも運行されている。後者のほうが本数が段違いで多く、利用者が多いことが想定できる。このバスが、中目黒駅の拠点性を担保しているようだ。
もちろん、東京メトロ日比谷線や、東急東横線が使用している中目黒駅があり、この2路線、さらには東急東横線に相互乗り入れする東京メトロ副都心線が、中目黒エリアの求心性を高めているといっていい。
中目黒駅周辺はかつて荏原郡目黒村と呼ばれていた場所で、こちらが本来の「目黒」であったと考えても差し支えないだろう。さらにさかのぼると、このエリアには上目黒村、中目黒村、下目黒村と「目黒」の名が付く村があった。
このあたりには、目黒の中の目黒、という意識があるのだろうか。その意識を反映するように、中目黒駅周辺は人でにぎわい、各種施設も集まっている。
「目黒の中の目黒」と「目黒の入口」
東急目黒線が地下鉄に乗り入れる前は、目黒駅は東急目蒲線のターミナルだった。しかし目蒲線自体は東急の源流となる路線ではあるものの、主要路線ではなくなっていた。現在の東急の屋台骨は、東急東横線となっている。東横線のほうが長編成で、多くの人が乗るようになった。
一方、目黒駅は目黒区内に向かうバスのターミナルとして現在も存在感を示している。中目黒駅は「目黒の中の目黒」、目黒駅は「目黒の入口」と考えるのが妥当ではないか。
目黒区内の交通、あるいは目黒区への行き来に関しては、バスと鉄道のより良い協力関係を構築することが必要だ。幸い、目黒区内の鉄道は東急電鉄がメインであり、バスも東急グループとなっている。目黒区の各エリア、さらに目黒駅の求心性を高めるために、鉄道とバスのシナジーをより一層高めることが求められる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。
利用されない指定席券売機 やっぱり「駅の窓口廃止」は間違っている
インターネット予約のおかげで、新幹線の移動はとても便利になった。交通系ICカードと予約情報をひも付ければきっぷは不要。しかし便利なのは移動が新幹線で完結する場合だけで、在来線を乗り継いだり、一筆書き経路では窓口がないとお手上げだ。ところがその窓口が激減している。
JRの「EXサービス」と「えきねっと」 どこで“差”が付いたのか
同じJRグループのサービスでも、「使いやすい」といわれる「EXサービス」と、「使いにくい」と言われ続ける「えきねっと」。その差はどこにあるのか……。
東京で隣の駅が「近すぎる」路線が存在するワケ
東京駅と有楽町駅、日暮里と西日暮里駅のように、都会には、駅間距離が短い場所がある。なぜ、そのような駅の設置の仕方をしたのだろうか。その理由は……。
「駅別マンション価格」を可視化したら、住みたい街が見えてきた
首都圏、特に東京23区では不動産価格の高騰が止まりません。「駅を変えれば、町を変えれば何とかなるのでは?」という希望をかなえるべく、中古マンションの価格を可視化してみました。

