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JR北海道「新幹線開業後」の明るい未来 札幌〜旭川間60分、札幌〜新千歳空港25分:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/6 ページ)
JR北海道が4月1日、「JR北海道グループ中期経営計画2026」を発表した。厳しい経営状況が続くが、明るい話題もいくつか見られる。今回はこの計画に書かれた明るい未来を、鉄道経済目線で紹介する。
中期経営計画2026に描かれた未来
JR北海道は新幹線札幌開業を機に経営自立する目標として、19年に「長期経営ビジョン未来2031」をスタートした。その手始めに23年までの中期経営計画を策定した。しかしコロナ禍という想定外の環境のなかで、数値目標を達成できなかった。
だからJR北海道は24年から3年間の中期経営計画2026で、出遅れたぶんを取り返すつもりだ。国からは、総額約1092億円の支援を受けるに当たり、経営改善に取り組むよう監督命令が出ている。安全の取り組みも継続しつつ、稼ぐ努力も必要だ。不動産、飲食部門などの鉄道外事業を拡充するとともに、鉄道部門は観光列車、ダイヤ、線路改良によって「選ばれる鉄道」を目指していく。
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