「生姜焼き風弁当」をナチュラルローソンが新発売 プラントベースで「肉感」どう再現:ティラミスやサラダなど全5品
ローソンは4月23日から順次「生姜焼き風弁当」などを含む計5種類をナチュラルローソンの一部店舗で販売する。プラントベース商品、特に肉料理についてはまだまだ市民権を得られていないように感じるが、新商品では「肉感」をどのように表現したのか?
ローソンは4月23日から順次、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県のナチュラルローソン店舗でプラントベースフードを販売する。
ラインアップはサラダから弁当と幅広い。肉を大豆ミートで代替した「生姜焼き風弁当」(599円)、卵・乳・白砂糖不使用の「ナチュラルティラミス」(235円)、1食分の野菜が摂れる、動物性原材料不使用の「キウイドレッシングのALL GREEN SALAD」(581円)など、全5品だ。
TPCマーケティングリサーチの調査によると、日本のプラントベースフードの市場規模は年々増加しており、2022年には前年比6.6%の1234億円となった。この10年間で約2.2倍に拡大している。
「健康サポートに特化」というナチュラルローソンの特徴も相まってか、プラントベースフードに対するお客のニーズも高まっているという。23年10月にプラントベースフードブランド「2foods」と共同開発したオムライスやドーナツなどの商品を皮切りに、ローソンのロングセラー商品のロールケーキ、ナゲットやカヌレなどさまざまなデザートや副菜の商品開発に取り組んできた。
「若年層だけでなく、幅広い世代に支持されていると実感している。ナチュラルローソンがラボとしての役割を担い、上手くいったSDGsの取り組みや商品をローソンに拡大させていっている」と、同社の中桐崇氏(ナチュラルローソン商品部 商品部長)は自信を見せる。
「生姜焼き風弁当」実際に食べてみた 肉感はどうだ?
プラントベースの中でも特に肉料理が浸透しにくい理由の一つに「大豆ミートだと肉っぽさが足りない」というのが挙げられる。筆者も肉本来のうま味や弾力の再現性を疑問視していたが、あっさり裏切られた。
中桐氏は「豚肉との食感の違いはあるものの、おいしく食べられる」と話していたが、個人的には十分に「豚の生姜焼きを食べている」と思えた。にんじんや白いんげん豆を使用した代替卵もトロっとした舌触りで再現性が高い。他の編集部員も「おいしくて驚いた。普通に肉でした」と興奮気味に報告してきた。
プラントベースフードは「肉料理をがっつり食べたい」層をターゲットとすると物足りないかもしれないが、健康志向や世界的なたんぱく質危機などを考える層をターゲットにしているとすれば、満足度の高い商品といえるかもしれない。
ローソンの山崎敦史氏(ナチュラルローソン商品部 シニアマーチャンダイザー)は、生姜焼き風弁当の開発で苦労した点について「乾燥した大豆ミートを戻して味付けをして生姜焼きを再現していくのですが、戻しのバランスを探るのに時間がかかりました。戻し時間が短いと固い食感、戻し時間が長いと柔らかすぎる食感になってしまいます。最終的に、戻す際にはそこまで時間をかけず、戻した後に下味をつけて炒めるという工程に落ち着きました」と話す。
プラントベースを定着させていくには、「おいしい」と実感してもらうことが重要になる。最初の一口の感動を磨き、プラントベースに対するハードルを下げていく。また「見栄え」も重視する。「おいしそう」を見た目からも想起させる作戦だ。来店客が手に取りたくなるような商品開発を今後も進めていくという。
販売戦略については「ナチュラルローソンのメインターゲットである、30〜40代女性の購入を期待しています。生姜焼き風弁当は1万2000食(販売予定は14週間)、ティラミスは1万食(同4週間)、サラダ2品は3000食ずつ(同6週間)、玄米焼きおにぎりは1万8000食(同8週間)です。おにぎりは単価が160円と低く手に取りやすいため、販売数も高めに設定しました」と山崎氏は話す。
プラントベースは原材料調達や需給バランスなどの観点から、通常の商品よりも販売価格が高めに設定される傾向がある。物価高騰で家計の消費が控えめになっている中、どのように市場に浸透させていくのか。
「価格以上の付加価値を持った商品をお客さまに届けていきたいです。一品でも定番商品を増やし、市場を拡大させる。そうすればコストも下がり、さまざまなお客さまに手に取っていただける可能性も高まります」(中桐氏)と、プラントベース市場へ投資していく姿勢を示したローソン。プラントベース市場の拡大傾向に乗って飛躍できるか。
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