海賊版サイトに過去最大級の賠償額 それでもユーザーは「負荷」の低いものを選び続ける 出版社の解決策は?:エンタメ×ビジネスを科学する(2/5 ページ)
海賊版サイトの取り締まりは今もなおいたちごっこが続いている。こうした市場環境で、漫画家や出版社といったコンテンツホルダーはどのように作品を守り、収益を確保できるだろうか。
文化庁も動く
こうした状況に対して、日本の官公庁も対応を急いでいる。文化庁は著作権保護の推進に努め、海賊版対策事業や権利執行の強化・普及啓発活動などを通じて著作権侵害の抑制を図っている。
同庁は国際的なルール制定にも参画しており、アジア太平洋地域における著作権制度の整備支援などを行っている。日本の漫画を含むコンテンツの国際的保護に向け、WIPO(世界知的所有権機関)と連携し、著作権制度の普及や著作権侵害に対する取り締まりの強化を支援している。
Netflixの戦い方
前述した国際的な著作権侵害対応は官公庁や国際機関でなければ難しい。では、民間企業ができることはなにか。冒頭で紹介した海賊版サイトへの訴訟を継続することは一つの抑止方法だろう。その他にはどのような打ち手があるのか。
一つの考え方として、より利便性の高い形でのコンテンツ提供がある。先行事例が米国のオンラインストリーミングサービスである。例えばNetflixは合法で便利なプラットフォームを提供することで、海賊版サイトから客を奪うことを目標に掲げている。その結果2億6000万人を超える会員を獲得し、海賊版サイトのユーザーを一定数減少させたと見られている。
同様の効果は日本の漫画の電子書籍化でも一定生じていると考えられる。2010年代半ば以降、大手電子書籍プラットフォームに加え、出版各社がそれぞれ電子漫画アプリを相次いでリリースしていった。また、先の連載で紹介した海外製のwebtoonアプリもユーザー数を伸ばしており、「スマートフォンで漫画を読む」という行為は一般に広く受け入れられていった。
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