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海賊版サイトに過去最大級の賠償額 それでもユーザーは「負荷」の低いものを選び続ける 出版社の解決策は?エンタメ×ビジネスを科学する(5/5 ページ)

海賊版サイトの取り締まりは今もなおいたちごっこが続いている。こうした市場環境で、漫画家や出版社といったコンテンツホルダーはどのように作品を守り、収益を確保できるだろうか。

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海賊版vs.業界全体の戦い

 消費者がコンテンツを楽しむために支払った対価が、日本の出版社および漫画家・クリエイターに届かなければ、持続的な成長は難しい。海賊版への対策、ユーザー負荷の軽減、漫画家およびクリエイターへの対価。今後の出版社にはこれらのバランスを保ちつつ、自社の利益も確保し市場を成長させるという難しい舵取りが求められる。

 本稿では今なお続く海賊版サイトの話題を導入とし、電子漫画における出版社とユーザーのあるべき関係性について考察した。漫画はいまやエンターテインメントの一つではなく、日本の文化でありアイデンティティーである。

 一方で、本稿に記載した障害や難点は多く残っている。また、映画や音楽と比較して、日常的にはオンラインサービスを利用し、非日常的な体験を求めてオフライン(ライブ・映画館)を楽しむといった拡張性が小さいという課題を持つ。

 漫画業界が継続的に成長し、文化を次世代に継承していくためには、本稿で見てきた課題の解決が求められる。そのためには、漫画家やクリエイター、出版社、ユーザーが協力し合い、業界全体で革新的な取り組みを行う必要があるといえる。

著者プロフィール:滑 健作(なめら けんさく) 

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 株式会社野村総合研究所にて情報通信産業・サービス産業・コンテンツ産業を対象とした事業戦略・マーケティング戦略立案および実行支援に従事。

 またプロスポーツ・漫画・アニメ・ゲーム・映画など各種エンタテイメント産業に関する講演実績を持つ。

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