なぜ「池袋〜新宿〜渋谷」は混んでいるのか? “郊外”だった駅が繁栄したワケ:都市の構造が変化(4/5 ページ)
平日でも混雑している山手線の西側エリア。開業時の利用者はほとんどいなかったが、なぜここまで繁栄したのだろうか。
「東京西側」ターミナルの現状は?
住宅地として「東京西側」が好まれたのは、地盤がしっかりしていたこと、広い土地を確保できること、公共交通がしっかりしていたこと、この3点が挙げられる。東京の西側をターミナルとする私鉄には山手線と接続する駅があるのに対し、東京の東側をターミナルとする私鉄には山手線と接続しない駅もある。
「京成電鉄は日暮里駅で山手線と接続しているではないか」という意見もあるかもしれないが、京成電鉄の2022年度における駅別1日平均乗降人員を見ると、日暮里駅は8万3830人で3位、2位は京成高砂駅、1位は押上駅である。その押上駅も乗車人員は18万8833人で、うち連絡人員が16万3268人である。これは相互乗り入れ列車の利用者で、実際の駅利用者は2万5565人となる。
一方、東武鉄道の「東京東側」ターミナルの浅草駅は繁華街ではあるものの、2022年度の1日平均乗降人員は3万4577人。ちなみに、北千住駅は38万2081人である。
京成電鉄や東武鉄道は、地下鉄に乗り入れることで都心へのアクセス性を向上させているという側面がある。一方、「東京西側」の私鉄は戦前から山手線上の主要駅に大きなターミナルをつくっていた。
各社の2022年度1日平均乗降人員を見てみよう。東急電鉄渋谷駅は東横線が38万4781人、田園都市線が55万2163人である。小田急電鉄新宿駅は41万970人、京王電鉄は新宿駅が61万3639人、渋谷駅が27万4505人である。
西武鉄道池袋駅は39万7892人、高田馬場駅は25万377人だ。東武東上線池袋駅は38万8238人。参考までに、東京メトロで最も乗降人員が多いのは池袋駅で、46万1392人。
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