「話を聴けない上司」にならないために 意識すべき2つのポイントとは?(2/2 ページ)
ビジネスパーソンの必須の能力とされる「傾聴」。とはいえ傾聴は難しい。なぜ、聴くことは難しいのか。どうすれば聴けるようになるのか――。
「閉じた質問」と「開かれた質問」をうまく使う方法
3分間話を聴くことができたら、メンバーが話したことに基づいて質問をしましょう。リーダーにとって「よい質問をする力」は必須のスキルです。しかし、うまく質問することは実は難しいのです。
(1)それ、質問ではなく「詰問」では?
「これって、こういうことでしょ?」「僕はこう思うんだけど、どう?」などの発言は、形式上は質問のかたちを取っていますが、実際にはリーダーの考えの押し付けです。メンバーは反論することが難しいので、「はい」と言うしかありません。このような質問はもちろん悪い例です。
(2)「閉じた質問」で会話の入口を作る
イエス/ノーで答えられる質問、または答えが1つしかない質問のことを「閉じた質問」(Closed Question)といいます。
閉じた質問の例
「カレーライスは好きですか?」→「はい/いいえ」
「生まれた場所はどこですか?」→「佐賀県です」
これらの質問は深く考えなくても答えられるという特徴があり、会話の導入などには効果的であるといわれています。しかし、いつまでも閉じた質問だけをしていると、対話が深まりません。メンバーとじっくり話し合いたい時は、閉じた質問を入口としつつ、徐々に「開かれた質問」に移行していくようにしましょう。
(3)「開かれた質問」を活用する
「開かれた質問」(Open Question)とは、すぐに答えが出ないような質問、本質を掘り下げる質問、自分自身と向き合う質問のことです。
開かれた質問の例
「あなたはどんなキャリアを思い描いていますか?」
「この仕事の目的は、誰にどのような貢献をすることですか?」
「生活と仕事をうまくバランスさせるためには、どうしらいいだろう?」
これらの質問は、パッと答えが出るようなものではありません。それでもこういう問いについて考え続けることはとても重要です。リーダーからはメンバーに対して、こういう開かれた質問をしてあげましょう。
そうすることで、メンバーの考える力が育ち、またリーダーとメンバーの間で本質的な対話が行われることによって、相互理解の促進、課題解決についての本質的な洞察に基づいた協働の促進など、大きな効果が期待できます。
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