連載
クルマの価格はまだまだ上がる? ならば海外格安EVにどう対抗すべきか:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
クルマの価格が高くなったという声をよく聞く。昔と比べて装備が充実していることもあり、価格は上がった。今後も、電動化やソフトウェアの高度化など、価格が上がる要素ばかりだ。安価な中国製EVなどに負けないためにも、真の価値を打ち出していくことが必要だ。
スーパーカーは限定車で価格を引き上げる
クルマの価格を引き上げているのは高級車、それも飛び切りのクルマだという見方もある。フェラーリやランボルギーニに代表されるスーパーカーブランドは、通常の生産モデルに加えてさらにプレミアムな限定車を時折リリースする。
それは当然のごとく奪い合いになって、抽選の結果手に入れたオーナーが即転売しても利益が出るような状態になっている。
しかもその抽選に参加できるのは、歴代のスペチアーレ(限定車)を全て購入している顧客のみという条件を付けるブランドもある。こうすることで、世界中の富裕層を相手に安定した利益を得ているのだ。富裕層にとっても、限定車を手に入れることは絶対に損をしないビジネスのようなものになりつつある。
他にも限定車を購入する条件として、高級車を数台購入して登録し、即売却することでディーラーの登録台数稼ぎの手伝いをさせられるケースもあるようだ。
こうした状態を見るとバブル景気を思い出すが、こうして札束で殴り合っているのは富裕層だけであり、むしろ庶民は日用品の値上げに悲鳴を上げている状態だ。日本でも格差が広がっていることを感じさせる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜクルマは高くなってしまったのか 高額化に恩恵を受ける人も
自動車の価格がどんどん高くなっている。製造コストや開発コストの増大に加えて、先進装備の充実や安全性向上も求められているからだ。メーカー、ディーラー、そしてユーザーにとって、高額化はどのような意味があるのか。
クルマの“顔つき”はどうやって決まる? デザインに表れる思惑とは
自動車のフロントマスクは各メーカーにとって重要な要素だ。ブランド戦略によってその方針は異なる。海外メーカーには、デザインの継承を重視しない姿勢も見られる。一方、国内メーカーも方針はさまざまで、デザインから各社の思惑も見えてくる。
ハイブリッドが当面の“現実解”である理由 勝者はトヨタだけではない
EVシフトに急ブレーキがかかっている。CO2排出や電力消費の面で現実が見えてきたからだ。現時点ではハイブリッド車、そのなかでもエンジンで発電してモーター走行するシリーズハイブリッドが最も現実的な方式だ。その理由とは……
アップルはなぜ「自動運転EV」の開発を終了したのか 考えられる理由は3つある
アップルが自動運転EVの開発を終了したという。かつてダイソンやグーグルもEVの自社開発を断念している。高い商品性を備えたEVの開発が難しいことに加え、自動運転は求められる技術力もリスクも非常に高い。また今後は、安全性だけでなく新たな価値提供も必要だ。
「アジアでBEV出遅れ」は好機になる? 日本車が再び選ばれるようになる理由
タイの日本車ディーラーが中国や韓国のブランドに乗り換える動きが続出しているようだ。しかし、勢いのあるアジア勢と比べて、慎重なのが日本車メーカーの成功の理由とも言える。性能や使い勝手で再び日本車が選ばれるようになる可能性も大いにあるだろう。
