ドラッグストアの卵はなぜ安いのか? 「トモズ」データ戦略の裏側:コロナ禍から復活(2/5 ページ)
都市型ドラッグストアを展開するトモズ。都心部に集中展開しているだけに、コロナ禍では大きな打撃を受けた。データドリブンの戦略によってどう立て直したのか。CDO渡瀬氏に聞く。
インバウンド対応力強化、売り場面積拡充――コロナ禍を「チャンス」に
――コロナ禍で業績が厳しかった当時、どのような手を打ったのでしょうか。
当時インバウンド需要に向けた免税対応店舗は60店舗程度だったのですが、コロナ禍だからこそ「これはチャンス」だと思い、20店舗ほど新たに免税対応の申請を行いました。
またこれはチャレンジではあったのですが、コロナ禍で都市部のビルからテナントが大量に撤退した状況を踏まえ、隣接した空きスペースを活用し、売り場面積の拡大と新規化粧品ブランドの導入に踏み切った店舗があります。
品ぞろえの強化も図りました。都市部では生活密着型の需要が根強いことから、一部店舗で日用雑貨やトイレタリー商品の品ぞろえを増やしました。こうした施策を実行した店舗では売り上げが1.5倍に伸長するなど、一定の成果を確認できています。
データ分析を強化して変わった、「値付け」と「ターゲティング」の精度
コロナ禍からの立て直しにあたって、トモズは会員アプリをローンチし、同時に会員データを整理。その上で、会員属性に基づいたマーケティングを強化していった。デジタルマーケティングの強化には、カタリナマーケティングジャパン(東京都港区、以下カタリナ)の支援を得た。
――データドリブンの戦略について教えてください。
2020年7月ごろ、従来の会員カードに代わる自社アプリをローンチしました。コロナ禍の真っただ中でのローンチでしたが、結果としてアプリのダウンロード数は1年で100万件に達しました。
振り返ると、コロナ禍という非常時の中で現場が危機感を共有できたことがアプリの浸透を後押ししたと考えています。コロナ禍という逆境を、むしろお客さまへの新サービスアピールの好機と捉えられました。
また、アプリを通じて得られるメールアドレスや購買行動データといった、より深い顧客データをターゲティングに生かせた点も大きな進歩でした。従来の会員カードでは取得できるデータに限界がありましたが、アプリではタッチポイントが増え、豊富なデータ活用が可能になりました。
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