日本は「デジタル小作人」のままでいいのか 海外クラウド“高依存”の不安:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
海外のデジタルサービスが普及したことで「デジタル赤字」が拡大している。ビジネスでは、多くの企業や自治体がAWS(アマゾンウェブサービス)を利用するなど、米国のクラウドサービスへの依存度が高まる。日本のテクノロジー企業の奮闘にも期待したい。
「デジタル赤字」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
三菱総合研究所によれば、「日本銀行のレポートを参考に、国際収支統計からデジタル関連収支を計算すると、23年のデジタル関連収支は5.5兆円の赤字となった。23年はインバウンドの回復により旅行収支が3.4兆円の黒字となったが、デジタル赤字がそれを上回った」という。
つまり、観光などで外国人が日本で落とすお金以上に、日本が外国のデジタルサービスなどに使うお金が多いということだ。実は、デジタル赤字は何年も前から起きているが、近年は赤字がどんどん増加している。それだけ日本人の富が流出していることになる。
とはいえ、この流れはもう誰にも止めることができないのが現実だ。
この状況について三菱総研は「デジタル赤字の拡大は、日本がデジタルサービスの利用を進めた結果であり、必ずしも悪いことではない」とも指摘しているが、筆者としてはそこまで楽観できないと感じている。デジタル赤字がさらに進んだ日本には何が待ち受けているのだろうか。
まず、デジタル赤字について詳しく見ていきたい。そもそも日本から流出しているデジタル関連の支払いにはどんなものがあるのか。例えば、コンピュータの基幹ソフトやアプリなどの利用料、クラウドサービスの利用料、システムやソフトウェアの開発費などがある。
さらに映像配信サービスやゲームソフトのサブスク料金に加え、課金などそのほかの契約料もある。個人でも、最近では映像配信サービスの選択肢が増え、NetflixやAmazonプライムビデオ、Disney+、Hulu、DAZNなど、契約するサービスが増えてしまっている人は少なくないだろう。さらに、海外のメディアを利用する際にもサブスクなど利用料を払うのが当たり前になっているし、SNSなどの利用料に加えて、広告費なども含まれてくる。こうした契約料の多くは海外に流出することになる。
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