2015年7月27日以前の記事
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日本は「デジタル小作人」のままでいいのか 海外クラウド“高依存”の不安世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

海外のデジタルサービスが普及したことで「デジタル赤字」が拡大している。ビジネスでは、多くの企業や自治体がAWS(アマゾンウェブサービス)を利用するなど、米国のクラウドサービスへの依存度が高まる。日本のテクノロジー企業の奮闘にも期待したい。

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多くの企業が利用する米国製クラウド

 これらの支出の中でも、大きな割合を占めているのが、クラウドサービスなどの利用料だ。身近なところでいえば、iPhoneひとつとっても、撮影した写真はアップルが提供するクラウドにどんどん保存されていく。契約時は5GBのストレージを無料で提供してくれるが、写真や動画などが増えていけば、あっという間に容量が足りなくなる。

 まめにiPhoneから写真を移動させたり削除したりすれば5GBでも賄えるかもしれないが、スマホカメラの進化でより高画質な写真を撮影できたり、動画のクオリティーも上がったりして、必要なストレージも大きくなっていく。Androidのスマホも同じで、Googleドライブなどのクラウドに15GBのファイルをバックアップできるが、足りなくなることもある。そうなれば、追加のストレージを購入することになって料金が高くなり、それだけお金が海外に流れていくというわけだ。

 海外のクラウドサービスは、企業も依存度が高まっている。例えば、利用者が多いAWS(アマゾンウェブサービス)のWebサイトで「お客様のクラウド導入事例」というページを見ると、日本の大手企業などの事例を紹介している。


アマゾンのサービス、AWSはビジネス領域で広く普及している(画像提供:ゲッティイメージズ)

 例えば、任天堂グループのニンテンドーシステムズは、ネット経由でソフトのダウンロードや追加コンテンツ購入などができるオンラインショップ「Nintendo eShop」でAWSを活用している。朝日放送グループホールディングスは、AWSを活用して「バーチャル高校野球」を運営し、1日最大156球場での試合を大規模配信している。ソフトバンクも、AWSを利用して携帯電話サービスのオンラインストア開発体制を再構築しているという。

 知らないうちに、私たちの生活の裏では、こうしたクラウド技術がサービスを支えているのである。

 企業だけでなく、自治体の例もある。例えば、2011年の東日本大震災で甚大な津波被害を受けた陸前高田市は、一斉架電とAIを活用した新しい情報伝達システムをAWS上に開発しているという。

 クラウドを使えば、自社内で一からシステムを開発するよりもコスト削減ができるし、性能も安定していて拡張性もセキュリティも優れているため使いやすい。さらに、導入を促している日本のコンサル関係者などに話を聞くと、「インターネットやデジタルサービスで世界をリードする米国製品」という“同調的”な安心感があるという。

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