聞いてた話と違う! 中途採用で「経歴詐称」が発覚、会社はどう対応すべき?(2/2 ページ)
従業員を雇用した後に「大卒だと思って採用したのに高卒だった」「営業経験者として採用したのに職務未経験者だった」など、学歴や職歴を詐称していたことが発覚した場合、企業はそのことを理由に従業員を解雇できるのでしょうか? この記事では事例をもとに、経歴詐称による解雇可否の判断基準、採用時に経歴詐称を防ぐための注意点を解説します。
「経歴詐称」を見抜く方法
では、従業員の採用時に経歴詐称を防ぐため、何に気を付ければいいのでしょう。
応募者と会社が直接顔合わせをする第一段階が面接であり、この段階で経歴詐称が分かれば従業員として採用しないことが可能です。
(1)面接時に経歴を証明する書類などを提出してもらう
提出書類には、卒業証明書、募集職種によっては資格を証明する書類などが該当します。中途採用の場合、特に「経験者」「管理職」などを募集する場合、職務経歴書の提出を求めるようにします。
(2)面接官向けの質問集などのマニュアルを作成し運用する
面接時に質問すべきこと、逆に質問してはいけないこと(家族に関する内容など)を事前に確認します。
(3)面接時のヒアリング内容を工夫する
前職での職務内容、退職の理由、志望の動機など、履歴書、職務経歴書の記載内容を確認するため深く掘り下げたヒアリングを行います。
(4)リファレンスチェックをする
リファレンスチェックとは、応募者が前職での職務内容、実績、勤務状況などについて応募書類への記載や面接時に話した内容に偽りがあるかどうかを前職の上司などに確認をする調査のことをいい、おもに外資系企業や日系グローバル企業などで導入されています。また、日系企業でも転職市場の活発化により中途で管理職者や経験者を採用する場合、リファレンスチェックを行う企業が増えていくでしょう。
リファレンスチェックを行うことで、応募者と会社が求めるスキルや経験などのギャップの有無や採用後の部署に適応できるかなどの判断がつきやすくなり、優秀な人材の確保につながる可能性が高まります。
ただし、リファレンスチェックを行う場合は、応募者には事前に説明し同意を得ることが必要です。同意を得ないでリファレンスチェックを行うと、個人情報保護法違反により後日トラブルに発展するリスクがあるので注意しましょう。
木村政美
1963年生まれ。旅行会社、話し方セミナー運営会社、大手生命保険会社の営業職を経て2004年社会保険労務士・行政書士・FP事務所を開業。労務管理に関する企業相談、セミナー講師、執筆を多数行う。2011年より千葉産業保健総合支援センターメンタルヘルス対策促進員、2020年より厚生労働省働き方改革推進支援センター派遣専門家受嘱。
現代ビジネス、ダイヤモンド・オンライン、オトナンサーなどで執筆中。
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