王者楽天ポイントに迫れるか? 新生Vポイントの“勝算”:「ポイント経済圏」定点観測(5/5 ページ)
CCCマーケティングが運営するTポイントと、SMBCグループが運営するVポイントが統合し、新生Vポイントが誕生した。企業発行ポイントの市場規模は2.5兆円を超えているが、新生Vポイントの勝算はどこにあるのか。
Vポイントの勝算は金融にあり
各経済圏の強みを次のように見てきた。
- dポイント経済圏:モバイル通信、クレジットカード
- Pontaポイント経済圏:モバイル通信
- PayPayポイント経済圏:コード決済、EC
- 楽天経済圏:EC、クレジットカード、金融
それぞれが強いサービスを起点に経済圏の拡大を目指していることがよく分かる。ではそんな中で、新生Vポイントの強みと勝算はどこにあるのか。
「新生Vポイントの強みは、やはり金融の部分の強さだ」とMMD研究所の吉本氏は指摘する。運営母体であるSMBCグループは、三井住友カードと三井住友銀行という非常に強い金融サービスを持つ。そして証券では業界トップのSBI証券との連携を強めており、こと金融サービスにおいては楽天経済圏をもしのぐ立ち位置にある。
これがデータに表れているのが、ポイントを活用したポイント運用やポイント投資の利用状況だ。「Vポイントユーザーの金融リテラシーや意識は非常に高い。ポイント運用やポイント投資で、いろいろなサービスをアクティブに活用していますか、と聞くと、Vポイントの割合が高い結果となった」(吉本氏)
もう一つ、他の経済圏にない強みが法人向けサービスだ。メガバンクである三井住友銀行が法人に強いのはもちろんだが、三井住友カードは決済プラットフォーム「stera(ステラ)」で店舗加盟店を続々増やしている。このメリットは、消費者であるユーザーだけでなく、店舗側からも購買・販売データを集められることだ。
共通ポイントにおける経済圏のマネタイズ方法は、自社のサービスに誘引することだけではない。データを元に加盟店へのマーケティング支援を行うビジネスが、もう一本の柱だ。
そもそも元祖共通ポイントであるTポイントは、さまざまな加盟店から得たデータを活用して、キャンペーンなどの施策を提案するビジネスとして始まっている。新生Vポイントは旧Tポイントのノウハウを活用しながら、さらに多彩な決済データを利用することで、新ビジネスにつなげていく狙いがあるわけだ。
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