意外な面倒さも? 財布いらずの「スマート支払い」、店側はどう思っているのか:DXの難しさ(3/3 ページ)
飲食店や美容室を無断キャンセルする「ノーショウ」問題が深刻だ。デジタル活用で乗り越えられる部分と、そうではない部分があるようだ。
飲食店ならではの難しさ
取材した飲食店のオーナーは「スマート支払いの利用率は1〜2割程度。(ノーショウ対策として)そこまで助かっている実感はありません。もっと利用率をあげていきたい」と話す。
「スマート支払いを利用するお客さまの場合、当店は注文用紙でオーダーを取っているので、会計時に一度端末を開いて、金額を打ち込み、お客さまのテーブルまで持っていく必要があります。
(カップルなどのお客さまの場合、)金額が相手に見えてしまわないように、隠しながら金額を見せています。このような“スマート”に見せるためのひと工夫が必要になっているわけです」
デートなどのシーンでよく使われる店だからこそ、雰囲気を壊さないようにこうした工夫をしているのだろう。
スマート支払いは、利用客自身が自分で注文を打ち込むモバイルオーダー方式や、タッチパネル方式との相性が良い。実際、デジタル化が進んでいるある焼肉店のオーナーは、「注文から会計までスムーズとなっているので、スマート支払いをもっと増やしていきたい」と話す。
全ての飲食店において、デジタル化が必要だとは限らない。注文を受ける際のコミュニケーションも顧客満足度に大きく関わる要素だ。食事に関する質問に答えたり、提案したりすることで利用客の満足度が上がり、結果として客単価の上昇にもつながる。
実は、飲食と美容とでは、スマート支払いを導入する割合に大きな開きがある。ホットペッパービューティーに掲載しているヘアサロン店舗の約30%がスマート支払いを導入している一方で、ホットペッパーグルメに掲載している飲食店のうち、スマート支払いを導入している店舗は約12%にとどまる。
スマート支払いは店側にも利用客側にもメリットをもたらすサービスである一方で、実店舗ビジネスにおけるDXは一筋縄ではいかないようだ。
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