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銀行に将来はあるか? NTTデータ有識者に聞く金融ビジネスの未来図(2/2 ページ)

第三者的な立場で長年にわたり金融業務の変遷を見てきたNTTデータの山本英生 金融イノベーション本部イノベーションリーダーシップ統括部長に金融ビジネスの将来像を聞いた。

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キーワードは「トラスト」と「コネクト」

 山本氏は金融の稼ぎ口を変えていくためのキーワードとして「トラスト」と「コネクト」を挙げる。

 「トラストとは、信用の足りていないところに、トラストを与えること。つまりプログマのように新しい分野にメガバンクなどが出資して信用を与えることがそれに当たります。日本の産業界は、業界の中では取引が効率化されています。一方で、業界をまたいで何かをつなごうとした瞬間に、プロトコールが違いすぎてつながらないことが多くあります。もう一つのコネクトは、業界をまたぐ取引の場合に、つながりにくいところを金融機関が仲介役となってつないでいくことです。そのつなぐ部分を、NTTデータはテクノロジー面でサポートします」

 NTTデータは2020年、ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz(トレードワルツ)」をSaaSとして提供する貿易実務の管理運営会社「トレードワルツ」に共同出資した。貿易実務の垣根を取り除いて“コネクト”できれば、貿易実務のデジタル化にも貢献できるとみていて、NTTデータはこのプラットフォームのシステム部分をサポートしている。

銀行という形が最終的に望ましい形なのか

 金融の将来像については「金融そのものはなくならないものの、銀行という形が最終的に望ましい形なのかどうかは難しい問題」だと話す。

 資金を安全に預かり送金する機能は、銀行には必要だ。だが、その担い手が誰なのかは、そこに最適化したものでなくてはならない。「銀行に未来はあるか」というよりも、どういう形が最適なのかが問題なのだ。

 「今の銀行は資金需要が多くある中で、その資金を世の中から集めて優先順位を付けて配分するという機能を担っています。足りなければ信用を創造すればよいという中で最適化された形態ですが、そういう形でないものが存在するようになってきています。レギュレーション(規制)があるので、全てが変わることはないでしょうが、どういう形が最適なのか、今の時点ではいろいろな考え方があると思います」

 テクノロジーの進歩によるデジタル化を踏まえた上での銀行の望ましい姿については模索が続く。山本氏は「金融業務の担い手は必ずしも銀行である必要はなくなってきている」と指摘する。伝統的な銀行に対して、異業種から金融的なビジネスに参入するケースが増え、金融と非金融の境界線があいまいになってきているのだ。

 セキュリティという金融の世界独自の規制が課される中で、テクノロジーを活用した新しい金融ビジネスモデルの提案ができるかどうかが問われている。

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