「肉のハナマサ」は肉以外も強い “異常値販売”で乗り込む関西マーケット争奪戦:小売・流通アナリストの視点(3/4 ページ)
業務用食品スーパー・肉のハナマサが今秋、関西に進出する。大手や地場企業がひしめく関西マーケットで、肉のハナマサはどう戦うのか。一時は経営難に陥ったハナマサを立て直した親会社のある戦法が、激化する関西のスーパー市場で有効なようだ。
右肩上がりのハナマサ、その要因は?
ハナマサの業績推移のデータは、2014年以降開示されている(図表2-1)。売り上げも経常利益も順調に右肩上がりで推移しているが、その要因は店舗数を増やすことに依存したものではない。
図表2-2はハナマサの店舗数と店舗当たりの売り上げ推移を示したものだ。店舗当たりの売り上げが上昇していることにより、会社の売り上げが伸びていることがお分かりいただけるだろう。これは、JMの生鮮強化が奏功して、ハナマサの既存店売上が増加しているということであり、販売力が強化された結果といえる。精肉の調達力を背景としたJMの生鮮販売ノウハウが他のスーパーに適用できるのであれば、JMはM&Aを強化することで、さらなる成長シナリオを描くことが可能なのだ。
JMは、ハナマサの子会社化以降も、中小スーパーのM&Aを実施しており、2023年には東京北部に13店舗を展開するスーパーみらべる(売り上げ150億円ほど)を傘下に入れた。今後、JMはこれまで以上に積極的に食品スーパーのM&Aを強化して、さらに業界で注目される存在となるだろう。
その理由に、JMの大型加工物流センターへの投資が完了したことが挙げられる。この供給基地は売り上げ2000億円を想定した先行投資であり、これはM&Aで供給量が拡大しても十分に対応可能な規模がある。このインフラを備えた上で、JMの販売ノウハウを適用すれば、成長を加速させられるのである。
センターを増設すればさらなる拡大もできるため、今後、JMが業界再編の核として名乗りを上げることは十分に可能だ。それこそ、業界の台風の目がまた1つ北関東に誕生した、といっていいだろう。
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