首都圏で急増中のコスモス薬品 物価高を味方にした戦い方とは?:小売・流通アナリストの視点(1/4 ページ)
九州を地盤とする大手ドラッグストア「コスモス薬品」。九州でトップシェアとなった後は、店勢圏を東に向けて拡大し、今まさに関東攻略作戦を進行中だ。コスモスを躍進には、物価高を味方にした戦い方がある。
筆者の事務所へ向かうときに通る藤沢市内の幹線道路沿いに、気が付くとピンクの看板の新しい店ができていた。「ドラッグストアコスモス」と書かれたその店は、ドラッグストア業界の成長企業であるコスモス薬品(以下、コスモス)の新店だ。
コスモスといえば、九州を地盤とする大手ドラッグストア。九州でトップシェアとなった後は、中四国、近畿、中部とその店勢圏を東に向けて拡大し、今まさに関東攻略作戦を進行中といったところだろうか。郊外のロードサイドに広い駐車場付きで、スーパーほどの大きさの店を出すため、北関東あたりから増殖が進んでいるが、東京、神奈川の郊外部にもその姿が増え始めた。
ドラッグストア業界において、コスモスの売上高(2022年度)は第4位という存在だが、上位ドラッグストアと違い、自前出店だけでここまできているのが特徴だ(図表1)。ドラッグストア業界は基本、M&Aを多用することで規模を拡大していく。ウエルシア、ツルハは中堅や下位企業を統合することで、マツキヨココカラはその名の通り、マツモトキヨシとココカラファインという大手同士の統合によってその地位を築き上げた。だが、コスモスはこれまでM&Aに頼ることなく、ここ10年ほどで売り上げ規模が3.5倍に成長している。
コスモスは物流網を整えながら高速で東に向かって出店。加えて既存出店エリアの密度を少しずつ増していくという、チェーンストア理論に忠実な出店戦略を愚直にやり続け成長している。これは、北海道に到達するまで止まることはなさそうだ。
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