NEC、社員2万人に顔認証の「デジタル社員証」導入 どんな変化が?:働き方DXを加速
NECが社内の働き方DXを加速させている。5月にはDX事業の新ブランド「BluStellar」(ブルーステラ)を発表。自社をゼロ番目のクライアントとして、働き方に関するさまざまなDXを強化している。社員2万人に顔認証のデジタル社員証を導入した狙いと変化の中身は?
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NECが社内の働き方DXを加速させている。5月にはDX事業の新ブランド「BluStellar」(ブルーステラ)を発表。自社をゼロ番目のクライアントとして最先端のテクノロジーを実践する社内DX推進戦略「クライアントゼロ」のもと、働き方に関するさまざまなDXを強化している。7月10日に開催したメディア向けの説明会では、その具体的な取り組みを発表した。
取り組みの一つとして、マイクロソフトが提供する分散型ID技術と、NECの生体認証技術を組み合わせたデジタル社員証を開発。国内の社員2万人を対象に、デジタル社員証や顔認証技術による社員向けのサービスを開始したという。今後もデジタルIDや生体認証、生成AIなどの先端テクノロジーを活用した働き方DXを強化していく。
働き方DXを強化 目指す先にあるのは?
「NECの持つ技術・人材、知見の全てを結集し、お客さまのビジネス変革を加速させ、新たな価値創造へと導きます。お客さまの道しるべとしての光となる思いを込めています」
5月30日に開催した会見で、ブルーステラを発表した森田隆之社長兼CEOは、命名の理由をこう説明した。
NECは、デジタルIDを中核にして人とサービス、データをつなぎ、社員の働き方を変革していくという。働き方の変革によって目指すのは、人の力の最大化だ。執行役 Corporate EVP 兼 CIO 兼コーポレート IT・デジタル部門長の小玉浩氏は、3つの取り組みの狙いを説明する。
1つ目はデジタル社員証の活用だ。デジタルIDと生体認証技術を組み合わせたデジタル社員証を導入。顔認証によって本社ビルの入退場、売店での決済のほか、オフィス内の複合機やロッカーの利用も顔認証だけで可能にしている。デジタル社員証と連携した多様な社員向けのサービスを展開し、社員向けのスマホ専用アプリも継続的に拡充していくという。
社外サービスとの連携も強化する。国籍や性別、障がいの有無にかかわらず働きやすい環境を作るため、障がい者向けデジタル手帳「ミライロID」との連携を開始する予定だ。
2つ目として経営層から社員まで同じデータを活用し、全社的にデータドリブンな働き方を進めている。経営ダッシュボードを用いて「財務」「人事」「IT」などの10領域92種類の経営情報を可視化。全社員が同じデータを基に経営判断や意思決定などのアクションの実行につなげている。
「自分の思い込みではなく、ファクトを見ながらデータドリブンでやっていくというマインドセット作りには物凄く役立っています。データをオープンにすることによって、データという会社全体の価値を皆が使えるようにすることが重要だと思います」(小玉氏)
3つ目として、社内の業務に生成AIを導入することによって、生産性を向上させているという。2023年5月からグループ内で生成AIサービスの提供を開始していて、グローバルパートナーの生成AIも組み合わせて延べ4万5000人が活用している。営業支援システムなど、社内167のシステムと連携して機能を拡充。AIカルチャーの醸成を加速するため、AI活用ノウハウを共有するポータルや活用事例の表彰イベントも実施中だ。
NECは今後も先進テクノロジーを活用し、社員のパフォーマンスと生産性向上を目指して働き方DXを進める。多くの企業が社員のエクスペリエンスに注目している今、その蓄積したノウハウを「BluStellar」モデルとして顧客向けに展開していく。
ブルーステラのキーパーソンであるNECで執行役 Corporate SEVP 兼 CDO 兼 デジタルプラットフォームビジネスユニット長を務める吉崎敏文氏は、5月30日に開催した会見で「ブルーステラは5年間かけてやってきたDXの取り組み、そしてそれ以前からの自社の変革と実践を集大成化したもの」だと話した。今回の社内DXの推進策はやがてブルーステラとして、顧客にも展開することになりそうだ。
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元・東京大学松尾研究室のAI研究者、今井翔太氏が「ITmedia デジタル戦略EXPO 2024 夏」に登壇。
生成AIは人類史上最大級の技術革命である。ただし現状、生成AI技術のあまりの発展の速さは、むしろ企業での活用を妨げている感すらある。AI研究者の視点から語る、生成AI×デジタル戦略の未来とは――。
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