「EV優遇廃止」派のトランプを、イーロン・マスクが“支援”する本当の理由:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
米国の大統領選では、イーロン・マスク氏がトランプ前大統領を支援することが明らかになった。EV政策で対立していたはずのトランプ氏を支援する裏には、ビジネスで理想を実現するための思惑がある。
米国の大統領選が大変な展開になっている。
まず7月13日に、ドナルド・トランプ前大統領が東部ペンシルベニア州で狙撃される暗殺未遂事件が発生。事件が検証される中で、7月21日にはジョー・バイデン大統領が「民主党と国の利益にとって最善」であるとして、大統領選からの撤退を発表した。
そんな前代未聞の出来事が続く中、筆者が特に注目しているのは、世界一の富豪であるイーロン・マスク氏の動きだ。電気自動車(EV)大手テスラや宇宙開発企業スペースXのCEO、大手SNSのX(旧Twitter)のオーナーを務めるマスク氏は、最近、資産額2516億ドル(約40兆円)で世界一の富豪に返り咲いている。
そのマスク氏はこれまで政治的に中立だと述べていたはずが、トランプ狙撃事件の直後に「私はトランプ大統領を全面的に支持する」と、Xに投稿した。さらに7月15日、トランプ前大統領に毎月4500万ドル(約70億円)を寄付する予定であることが明らかになった(本人は「その話はフィクションだ」と反論、実際の寄付額はそこまで高額ではないとも言われている)。そもそも、トランプ前大統領といえば、マスク氏のことを毛嫌いし、テスラなど環境に配慮したEVの普及にも反対の立場を鮮明にしている。
自称“マスクウォッチャー”の筆者から見ても、マスク氏が何も考えずに寄付に乗り出すとは考えにくい。もちろんその動きには裏があるはずだが、今回はその思惑について深掘りしたい。
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