NECのDX統括部長が明かす「ブルーステラ」誕生の理由(2/2 ページ)
NECのBluStellarビジネス開発統括部の岡田勲統括部長が、ブルーステラ誕生の背景を語った。
顧客目線でのシナリオのメリット
顧客目線でのシナリオのメリットとして「経営課題に対する戦略的集中と事業成長」「事業拡大・競争力強化」「実績とノウハウを持つパートナーのサポート」の3つを挙げる。
「経営課題に対する戦略的集中と事業成長」では、抱える経営課題に対して目指すべき姿と具体的な課題解決策のロードマップが明確となり、戦略的リソースの集中と事業成長が可能になる点。「事業拡大・競争力強化」では、実績のあるシナリオを基に事業環境や市場動向の変化のスピードに対応しながら課題解決に取り組むことで、事業拡大や競争力強化につながる点。「実績とノウハウを持つパートナーのサポート」では、コンサルや製品サービス、システム構築・運用の実績とノウハウを持つパートナーのサポートが得られることで、課題解決や事業拡大に取り組める点を挙げている。
ブルーステラでは「お客さまのDX実現構想」と題して、5つのアジェンダと8つのシナリオグループを顧客に提案している。顧客がブルーステラを活用しDXを進めようとした際には、まず顧客企業の経営課題テーマに基づきアジェンダを5つの中から選び、さらにシナリオを選んでいく。
そしてシナリオを元にオファリングを受け、最終的にソフトウェアや単体のコンサルといった商材として、運用・保守を受ける。シナリオを軸とした価値創造モデルについて、岡田統括部長がこう腕を鳴らす。
「これまでNECはSIerとして、このシナリオのようなものを営業やSEが部門ごとにばらばらに立てていました。それぞれに知見やノウハウはあったものの、それが体系化されていなかったわけです。結果、顧客に対応するスピードが遅くなるなどサービスの低下がありました。ブルーステラでは、この知見の共有をNEC全体に対して実行し、さらにこの型を常にアップデートしていき、より良い形で顧客に提供していきます」
ブルーステラの導入社としては、既に大東建託や三井住友海上火災保険、東京電力パワーグリッドなどの例があるという。その事例についても「スモールスタートで始めるデータドリブン経営ワークショップ」や「経過記録要約システム」「DX戦略コンサルティング」などさまざまなものがある。
「パートナー企業には一定の評価をいただいていて、より良い信頼関係を構築できたと思っています。その関係性から次のお話をいただき、NECも一緒にゴールを目指し、お客さまと共にさらなるDXを進めていきます」
NECに限らず、いま各企業が価値創造ブランドを創出し、独自に展開しようとしている。ブルーステラはシナリオを軸に据えている点にユニークさがあるといえそうだ。シナリオを軸にしたDXがどのように広まるのか注目だ。
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