成田空港と都心を結ぶ新構想 「押上〜泉岳寺短絡線」はどうなる?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/5 ページ)
成田空港の航空機の年間発着回数は、2024年度が25万回で、2040年代後半には50万回に達するという。旅客ターミナル容量は、現在年5700万人だが、年50万回発着時は7500万人になる。増強に対し、発着回数は滑走路の延伸と新設を進め、ターミナル容量については「ワンターミナル構想」が浮上した。
そこは成田新幹線の遺産だった
もともとこの線路は成田新幹線の用地だった。しかし計画が頓挫して、路盤や空港駅の地下が使われないままだった。それを見かねて、1988年当時に運輸大臣だった石原慎太郎氏の要請で在来線転用が決まった。整備に当たって、JR東日本、京成電鉄、NAAが出資する「成田空港高速鉄道」が設立され、線路を1本ずつ使う形になった。空港内の駅はNAAが空港設備として建設している。
京成電鉄はもっと複雑だ。京成電鉄は独自に空港ターミナルビルに乗り入れようと計画したけれども、成田新幹線計画があったためかなわず、ビルの手前の現在位置に成田空港駅(現・東成田駅)をつくり、バスでターミナルビルに連絡した。成田空港高速鉄道の完成後はターミナルビルに乗り入れた。その後、京成電鉄は北総鉄道経由の成田スカイアクセス線を開業し、京成電鉄側の線路と駅を使って空港第2ビルに乗り入れた。
そうなると、京成電鉄の成田空港駅、空港第2ビル駅は、京成本線の快速と通勤特急、スカイライナー、アクセス特急が乗り入れる。2方向4種別となって分かりにくい上に、京成電鉄のプラットホームは前後に区分けして電車が縦列停車する状態になった。
こうした問題を解決するためには増発して輸送量を増やしたい。そこで京成側、JR東日本側も複線化したい。行き違い設備をなくせば、列車の待機時間も解消し、5分程度の所要時間短縮も見込める。前出のように成田空港高速鉄道は京成電鉄、JR東日本、NAAが主要株主だ。今後、国を交えて建設の枠組みがつくられることを期待する。
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