人間の「真の相棒」となる日も間近? Apple、Googleも発表「マルチモーダルAIエージェント」の今:AI×社会の交差点(2/4 ページ)
AppleやGoogleをはじめ、世界のメーカーが開発に力を入れる次世代AIエージェント。今後の可能性を考察する。
Apple、Googleが相次いで発表 次世代のAIエージェント
AIエージェントとは、特定のタスクや問題解決に自律的に行動するシステムである。複数のAIモデルを組み合わせることで、複雑な課題にも取り組める。厳密な定義はないが、AIアシスタントは主にユーザーの指示に従ってサポートを提供するが、AIエージェントはより自律的で協調的なタスク遂行が可能だとされる。
Appleは2024年6月に開催したWWDC24(世界開発者会議)で、SiriとChatGPTが連携できる計画を発表した。SiriがChatGPTに置き換わるのではなく、必要な場面で専門知識を連携し、その結果をユーザーに提供する仕組みである。また、Googleも2024年5月のGoogle I/O(年次開発者向け会議)で、次世代AIエージェント「Project Astra」を発表した。
これらのAIエージェントを実現させる土台となるのは、大規模言語モデル(LLM)である。LLMは膨大なテキストデータを学習し、さまざまな文脈や状況に対応する知識を蓄積する。これがコンテキストを理解し、適応する能力を強化している。
自動車業界に革命をもたらす車載AIの進化
AIエージェントの搭載はスマートフォンだけでなく、自動車にも広がりつつある。ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、車載AI「IDA」とChatGPTを統合する計画を発表した。また、ステランティス傘下のDSオートモビルは、インフォテインメントシステム「DS IRISシステム」にChatGPTを標準装備すると明らかにした。さらにBMWはCES 2024で、車載AIにAmazonのAlexa LLMを搭載したデモを行った。
従来の車載アシスタントは、音声認識機能を備えていても限定されたコマンドしか理解できず、自然な会話や意図の把握は難しかった。しかしLLMの活用により、多様な表現や会話の流れ、過去の発言に基づく応答が可能になっている。実際、DSオートモビルは2023年10月にChatGPTを試験導入し、音声認識機能の利用が50%以上増加したという。
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