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「デジタル限定クーポン」は消費者に不誠実か? 米国で議論、日本はどうあるべきか小売りの「マーケティングDX」成功の鍵は(3/5 ページ)

どんなアセットを用意してどんな施策を展開するべきか。重要なポイントを解説する。

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米国では「デジタル限定」を問題視

 米国では2022年、消費者保護団体が全米の大手スーパーマーケット12チェーンに対し、週替りの特売チラシなどで大きく宣伝されている「デジタル限定」特売は全ての顧客が等しく価値を受け取れるものではないとし、オフラインの選択肢を提供するよう要請しました。

 デジタル特売を利用するための技術やノウハウがないために、「高齢者や収入の少ない人は、テクノロジーに精通した同世代の人よりも高い食料品価格を支払わざるを得ない」と消費者保護団体は述べたのです。


オフラインのクーポンも必要?

 「全ての顧客が平等にオファーにアクセスする権利があることを認識することは、良いビジネス慣行だ」と、同団体は全国スーパーマーケットチェーン12社に宛てた書簡に記しました。

 この書簡は2023年、メディアの注目を集め、最終的にニュージャージー州の議員が同州議会で法案を提出するまでになりました。提案された法案は「デジタルクーポンを提供する小売り業者は、消費者に同等の価値の紙のクーポンも提供することを義務付ける」というものです。

 では、国内ではどうでしょうか。筆者が知る範囲でも、特に地方で展開するチェーンストアは「来店客の状況に寄り添う」ことに気を配りながらDXを推進しています。

 また、首都圏を中心に展開するドラッグストア運営企業のCDO(最高デジタル責任者)も「(店舗利用者のうち)アプリ会員が100%という世界観は果たして成り立つのか」「DXを推進する上で、オンライン/オフラインをハイブリッド化したアプローチが必要」としており、国内でも、アプリのみに閉じたマーケティング施策では不十分だと考えている企業は少なくありません。

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