連載
日本語教師はなぜスパイだと疑われたか ツッコミどころ満載であるが、ビジネスパーソンが注意すべき行動:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
ベラルーシで日本人が拘束されていたことが現地のニュース番組で報じられた。スパイとして活動したと疑われており、過去に連絡を取った日本の企業経営者も諜報員だとされている。海外とやりとりする場合はこういったことに巻き込まれるリスクもある。注意が必要だ。
9月5日、ベラルーシで7月に邦人が拘束されていたことが判明し、騒動になっている。
この邦人は、ベラルーシの大学で日本語教師などをしていたベラルーシ在住の中西雅敏氏(52)だ。地元の国営テレビは9月5日、中西氏が日本の情報機関のスパイであり、ベラルーシとウクライナの国境近くの軍事施設の撮影をするなど、情報活動をしていたと報じた。
そしてその翌日には、16分ほどの長さのニュース番組が国営放送で放映され、YouTubeでも配信された。その動画には長野県の企業関係者も登場し、なぜかその会社のトップがスパイのハンドラー(スパイを運用する諜報員)として描かれていた。
まだこれから事態が進展する可能性もあるが、これまでの経緯を見ると、日本の企業関係者やビジネスパーソンも、国外でいつスパイ関係組織として扱われる事態に見舞われるか分からないというリスクを再確認できる。そこで今回はこの騒動をさらに深掘りしてみたい。
これまで世界各地のスパイ機関関係者やスパイ絡みの事件、歴史などを取材してきた筆者としては、今回のニュース番組はツッコミどころが満載すぎるずさんな内容という印象だった。根本的な事実誤認も見受けられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「KADOKAWA」「ニコ動」へのサイバー攻撃、犯人と交渉中の暴露報道は“正しい”ことなのか
KADOKAWAグループのニコニコ動画などがランサムウェア攻撃を受けた事件について、NewsPicksが交渉内容を暴露する記事を出した。交渉中のタイミングで報じることは、企業の判断や行動を制限しかねない。対策にめどが立った段階まで待つべきではないだろうか。
「LINEのセキュリティ」は大問題 TikTokと同じ道をたどるのか
生活に欠かせないLINEを巡って、セキュリティの問題が指摘されている。2023年11月、日本人を含むユーザーの個人情報漏洩事件が発覚。これまでもセキュリティ意識の低さが問題を引き起こしてきた。日韓の企業が出資するLINEに、政府が資本の見直しを求める動きもある。
中国出張でPCは“肌身離さず”でなければいけない、なぜ?
昨年、中央省庁の職員3人が中国出張中、PCに不審なマルウェアを埋め込まれていたことが分かった。わずかな時間でホテルの部屋に侵入されたという。特に海外出張では、PCを常に携行するなど、警戒を強めて行動することが必要だ。
テレビCMを打ちまくる「Temu」は危険なのか 激安を実現するビジネスモデルとは
中国の激安通販サイト「Temu」が、テレビCMなどに多額の広告費を投入していることで注目されている。独自のサプライチェーンによって低価格を実現しているが、商品のクオリティーの低さが問題視される。個人データが中国に渡る可能性もあり、懸念は大きい。
テレグラムはなぜ犯罪に使われやすいのか 「自由」を貫く創業者の考え方とは
9億人が利用する通信アプリ「テレグラム」。秘匿性が高く、犯罪に使われることも多い。創業者は、母国・ロシアでの経験から、自由で安全で中立性の高いサービスを目指している。その思いとは。
