エヌビディアの株価急落、インテルの「内憂外患」 AI最前線で今何が起きているのか:AI×社会の交差点(1/3 ページ)
AIはデータセンターからエッジへ。AI半導体の次の注目分野はどれか。エヌビディア・インテルの決算から市場の今後を考察する
AI×社会の交差点
AIの発達が急速に進んでいる。AIの進化・普及によって社会にどのような変化が起きるのか。野村総合研究所でIT技術のリサーチを行うチームが萌芽事例やニュースなどを取り上げ、新たな課題と可能性について多角的に解説する。
AIの解析(「推論」という)はこれまで、クラウドをはじめデータセンターで行われていたが、近年は実行の場がPCやスマートフォンなど「エッジ」(端)へ広がりつつある。
AIの活用では、私たちが入力したデータをAIモデルが推論し、結果を出力する。AIモデルを作るには大量なデータの学習が必要であり、そのための計算機としてエヌビディアのGPU(画像処理装置)に高い注目が集まっている。まずはそんなエヌビディアの決算から、AI半導体の今後の行く末を占っていこう。
売上高前年同期比2.2倍 絶好調のエヌビディアだが、株価は下落
エヌビディアが8月28日に発表した5〜7月期決算は、売上高が前年同期比2.2倍の300億ドル(約4兆2900億円)、純利益が2.7倍の165億9900万ドル(約2兆3700億円)だった。いずれも過去最高を更新した。
しかし、5四半期連続で2倍以上を維持してきた成長のスピードが鈍化する見通しが明らかになると、同社の株価は時間外取引で急落。さらに、米司法省が反トラスト法調査の一環として同社に文書提出命令状を送付したとブルームバーグが報じたことで、9月3日の米株式市場ではエヌビディア株は前日から9.5%下落し、2789億ドルが吹き飛んでしまった。
同社の売り上げのほとんどは、データセンターで利用するGPUが占める。
5〜7月の売り上げにおけるデータセンター部門の割合は、約263億ドルで全体の87%だった(図1)。アマゾンウェブサービス(AWS)やメタなど大手クラウド事業者を筆頭に、生成AI用のAIモデルを作成するために、エヌビディアのGPUを大量に調達しているからだ。エヌビディアはもはや、AI向けの半導体のサプライヤーとしてAIブームをけん引し、確固たる地位を確立している。しかし近年、GPU導入に巨額の投資を行った大手クラウド事業者や企業では、投資に見合ったビジネスの創出に苦戦しているとの見方もあり、エヌビディアの株価が乱高下する一因になっている。
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