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富士通ゼネラル製「クーラー付きリュック」がヒット きっかけは会社まで徒歩20分、汗だく社員の悩みから:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(2/2 ページ)
空調機メーカーとして知られる富士通ゼネラルが、「クーラー付きリュック」を開発し、売れている。
背負ってる方がむしろ涼しい
このリュックは空調機メーカーである自社の技術を応用し、リュックが接する背中の体感温度を7度下げるというもの。そのため、むしろ背負っている方が涼しいのだ。移動は快適なものとなり、通勤・移動後の仕事のパフォーマンスの維持、向上につながる。シャツの汗ジミを回避できるため、ビジネスパーソンとして重要な清潔感アップにも寄与する。
購入したユーザーからは「普通のバックパックを背負ってるとシャツに汗ジミができてしまうので、気にならなくなってうれしい」という声も届いた。
空調機メーカーなら、自社が得意とする「室内」の空調機の改善に意識が集中してしまいそうなものだが、自社が提供できる価値を柔軟に考え、「移動中の課題」に着目した点がユニークだといえる。
自社の提供価値を柔軟に見直すと、思わぬイノベーションにつながることがある。既存の枠にとらわれず、自分たちが本当に貢献できる領域はどこか、あらためて考えてみることで、新たなチャンスが生まれてくるのかもしれない。
著者プロフィール:早川将司(はやかわ・まさし)
株式会社マクアケ MIS事業部 新規事業開発プロデューサー
1986年生まれ。2009年法政大学卒業後、ブライダルプロデュース会社、マーケティング会社、デザインコンサルティングファームを経て2020年に株式会社マクアケに参画。入社後からはMakuakeでの先行販売時におけるコンサルティングだけでなく、新商品やサービスの企画・開発段階から新規事業立ち上げに至るまで一貫した支援を行うMIS事業部にて新規事業開発プロデューサーとして従事。
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