PayPayはなぜ「当たり!」だけに頼らないのか? QRコード決済を超えた、意外な一手:「ポイント経済圏」定点観測(2/5 ページ)
PayPayカードがキャンペーンのDXにチカラを入れている。その背景には、何があるのか。PayPayには戦略的な意図があって……。
クレカキャンペーン、DXで一新
「○○円以上の利用で△△ポイント還元」「エントリーして◯◯で利用すると抽選で××名様に豪華賞品をプレゼント」――。これらはクレカの利用促進キャンペーンの定番だ。しかし、こうした従来型には大きな課題があった。
「数カ月後の明細でようやく還元額が分かる。自分がキャンペーンの対象になったかも不明確だった」と大島氏は指摘する。
これに対し、同社が打ち出した「PayPayカードスクラッチくじ」は、一線を画す。最大の特徴はリアルタイム性だ。「決済直後にスマートフォンでくじを引け、その場で結果が分かる」と大島氏。従来のように数カ月待つ必要はない。
この「PayPayカードスクラッチくじ」は、実はPayPayのコード決済で既に好評だったスクラッチくじの仕組みを、PayPayカードにも拡大適用したものだ。6月21日から8月9日にかけて行われたキャンペーン「超PayPay祭」において、PayPayだけでなくプラスチックのPayPayカードの利用でも、スクラッチくじがひけるキャンペーンとして実施した。QRコード決済とクレカ、双方の利用者に同様の体験を提供することで、PayPay経済圏全体の活性化を図る狙いがある。
PayPayはコード決済の代表格だが、クレカにおいてもPayPayカードの存在感が急激に増している。MMD総研が7月に実施した調査によると、「利用しているクレジットカード」において、三井住友カードやdカード、JCBカードなどを抜いて3位につけている(出典:MMD総研)
さらに、PayPayアプリとの連携で利用履歴やポイント獲得状況も即座に確認できる。「明細を見返す手間もなく、カード利用状況が一目瞭然」(大島氏)。旧来型が事後的な還元だったのに対し、新方式は即時性と透明性を実現。加えて、くじを引く「楽しさ」も提供する。
結果、「もっと使いたい」「キャンペーン後も継続して使いたい」という声が多いという。ユーザーエンゲージメントの向上に成功し、クレカキャンペーンのあり方を根本から変えつつある。
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