なぜホームセンターは「大都市の駅前」に進出するのか カインズやコーナンが“おしゃれ店舗”に変身するワケ:スピン経済の歩き方(6/8 ページ)
人口減少が深刻な日本だが、ホームセンターの数は増えている。プレーヤーが増える中、各社が生き残る道は……。
事業者数が自然減少している家具小売業
確かに家具小売業の世界は、ホームセンター業界ほど「過剰出店」ではない。日本家具産業振興会のデータによれば、家具小売業の事業所は1976年に2万8133あったが、40年後の2016年には6128まで減っている。人口減少にともなって市場も縮小し、プレーヤーが自然淘汰されていたのだ。
だからこそ、ニトリのような製造小売の巨大プレーヤーが成長できる余地があったとも言える。しかし「こっちの市場は稼げるぞ」ということで、ホームセンターがどんどん参入してニトリのような動きをすれば当然、血で血を洗うレッドオーシャンになってしまう。
「ライフスタイルDIY」とか「ホームファッション」とか掲げているスローガンに若干の違いはあるが、品ぞろえもターゲットもほとんど同じだ。つまり、そのうち熾烈(しれつ)なカニバリが始まってしまうのだ。
このような事態を避けるには、「独自の動き」で専門分野を確立するしかないのではないか。その一つの可能性となるのが、「コメリ」だ。
ご存じの方も多いだろうが、コメリは農協との提携を進めていて「農家のコンビニ」と評されるほど、地方に根付いている。今のところ東京や大阪のターミナル駅前に進出、なんて動きが一切見えない。
先日とある地方に行ったとき、農家の人々にどのホームセンターをよく利用しているかを尋ねたら、真っ先に出たのがコメリだった。このような「強力なファン」をどれほど多くつくれるかが、人口減少時代のビジネスでは重要だ。競合が都市を目指す中で、地方の過疎化や高齢化という課題に真っ正面から向き合うスタンスによりエッジを立てて差別化していく、というのもホームセンターの生きる道なのではないか。
実際、ホームセンターではないが同じような方針を打ち出している企業もある。「無印良品」を運営する良品計画だ。
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