「自律型人材」を育てたら、何が変わった? 先進企業に聞くメリットと課題
企業は自律型人材育成についてどのような課題を抱いているのか。アルー(東京都千代田区 )が調査を実施した。
従業員を「資本」と捉え、その価値を最大化し企業の価値向上につなげていく「人的資本経営」が推進されている昨今、指示を待つのではなく自ら考え行動する「自律型人材育成」の必要性が増している。そのような中、企業は自律型人材育成についてどのような課題を抱いているのか。人材育成サービスを提供するアルー(東京都千代田区)が調査を実施した。
「自律型人材育成」している企業に起きた変化
従業員規模が3万人以上の企業において、自律型人材育成に向けた取り組みを「実施しており、昨年より取り組みを増やす・強化する」という回答は、51.4%に上った。また、いずれの従業員数規模においても、昨年度と同等以上の取り組みをする企業は40%を上回った。
実施済み、または実施予定の自律型人材育成施策については「人事評価制度の改訂」が最も多く、54.9%だった。以降は「eラーニングの導入」(52.5%)、「ワークライフバランスの整備」(44.7%)と続いた。一方で、最も実施率が低い施策は「副業・兼業の支援」で21.0%だった。
自律型人材育成の効果について、従業員規模が2万人以上3万人未満の企業のみ「とても効果的」「効果的」の回答の合計が50%を切る結果に。それ以外の従業員規模の企業では「とても効果的」「効果的」の回答は65%以上を占めた。
また、具体的な効果については「従業員満足度が向上した」が最も多く、50.6%。その他、「社員のスキルアップにつながった」(46.1%)、「職場のコミュニケーションが活発化した」(41.6%)などが上位となった。
自律型人材の割合はどれくらいか。従業員数3万人以上の企業では、31.4%が「自律型人材が50%以上を占める」と回答した。一方で、従業員数1000〜3万人未満の企業では「自律型人材が50%以上を占める」という回答は10%に満たなかった。
自律型人材の育成によって発生した課題については、「育成施策に必要な費用が増えた」「発生した課題はない」が最も多く、同率29.4%だった。次に「管理職の負担が増えた」(24.3%)が挙がった。
回答は10月4〜8日にインターネットで実施。回答者数は404人。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「自分で考え、動ける社員」を作る──リコーは何をしているのか
「リコーは2020年にOAメーカーからデジタルサービスの会社になると宣言している」――リコーの長久良子CHROは、自社の人的資本戦略に変革が必要になった理由をこのように話す。リコーが2020年から進めてきた、自律的に考えて提案できる社員を育む人的資本戦略と、見えてきた課題感とはどのようなものか。
希望退職の“キラキラネーム化”──黒字なのに人員整理に向かう企業の「ある事情」
2024年の春闘賃上げ率は33年ぶりの大幅なものでした。ある程度予想できたことですが、そのしわ寄せは中高年に及んできています。最近の希望退職募集の特徴として、「キラキラネーム」化していることと、黒字企業によるものが多いことが挙げられます。
管理職がまさかの“燃え尽き退職” 研究者が勧める「4つの防止法」
非管理職に比べ、管理職は燃え尽き症候群に陥る可能性が36%高い。チームメンバーのニーズと組織の目標達成のバランスを取るという綱渡りの仕事を、しばしばプレッシャーと限られたリソースの中でこなしているためだ。企業はどう対処すべきだろうか。
「あっという間」に辞めていく若手 どう接するのが正解か?
新人・若手社員のリテンションは、以前から大きな人事課題の1つです。ただ、現在の新人・若手、つまり1990年代後半以降に生まれたZ世代に関しては「どうやって早期離職を防げばよいか分からない」「気持ちや考えをよく理解できない」といった人事・上司の皆さんの悩みの声が、これまで以上に多くなっています。





