「G-SHOCK Tシャツ」3時間で完売 カシオ、”色落ちにタフな服”開発しました:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
カシオ計算機が「G-SHOCK」のTシャツを販売したところ、3時間で完売した。製品の世界観が詰まったTシャツというが、どのような特徴があるのか。プロジェクトメンバーに話を聞いたところ……。
さまざまなテストを実施
さて、商品の方向性は決まった。しかし、である。電子ピアノや電卓などをつくっている会社にとって、アパレルは畑違いになるわけだが、どのようにしてTシャツを開発したのか。大きくわけて、2つのテストを実施している。
1つめは「色褪せ」である。黒い服は太陽の光や漂白剤にさらされると、色落ちすることがある。ということで、プロジェクトメンバーは生地に使用する糸に注目した。
一般的な生地は、染色された糸を使っている。しかしプロジェクトメンバーは、原料の段階から顔料(色の付いた物質)を混合した「原着糸」(げんちゃくし)を選んだ。特徴を一言でいえば、「色褪せに強い」からである。
漂白剤を一定時間漬けて、色落ちするかどうか。特別な機械を使用して、10年分に相当する日光をあててみる。結果、どうだったのか。他の一般的な生地は色が大きく変化していたのに、G-SHOCKのTシャツはほぼ変化がなかったのだ。
次に「強度」である。G-SHOCKを開発するときに使う機械を使って、対摩耗性を確認した。何度も何度も生地をこすりつけて、生地の状態はどうなっているのか。また、洗濯することで寸法に変化はあるのか。さらに、成人男性の頭を想定した円筒にTシャツを入れたり出したりして、首回りに変化はあるのかどうか。いずれも基準に達していたので、商品化のめどが立ったのだ。
こうしてG-SHOCKのTシャツが完成したわけだが、社内からは「本当に売れるのか」といった不安があった。というのも、一般的なTシャツといえば、3000〜5000円がボリュームゾーンだが、この商品の価格は1万2100円である(ロングTシャツは1万4850円)。
冒頭で紹介したようにPRはしていないし、価格は高い。さらに、完成が遅れて発売日は8月30日である。例年であれば、店頭に秋物の商品が並んでいるタイミングなので、売れるかどうかの不安があったようだ。しかし、結果は3時間で完売。反響について、メンバーのある人は「G-SHOCKの価値を分かっていただけたのではないか」と振り返っていた。
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