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「省人化」の先を見据える オルビス流、物流DXの進め方(2/2 ページ)

ECを主軸とする化粧品メーカーのオルビスが、物流拠点の省人化と生産性向上に力を入れている。「単なる省人化だけが目的ではない」と担当者は話す。オルビスはどんな狙いのもと、物流DXを進めているのか。

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AIで自律走行するロボットも導入 その効果は?

 小型AGVで業務効率化の手応えを掴んだことから、2023年2月には、さらにAIで自律走行するAMR(自律走行搬送ロボット)を16台導入した(2024年11月現在は20台まで増強)。

 従来は、作業員がカートを手で押して移動しながら、必要な商品が保管されている棚に移動し、ピッキング作業を行っていた。そのため、作業員1人あたり、1日に2万歩近く歩くこともあったという。

 AMRは出荷データを受信すると、必要な商品棚に向かって自律的に移動。作業員は移動の必要がなくなり、棚から商品をピックして、ケースに入れるだけでよくなった。


AIで自律走行するAMR(自律走行搬送ロボット)(オルビス提供)

 AMRを導入したことで、人員は旧出荷システムに比べ、同じ出荷能力に対して25%削減、売上高に対する出荷作業費の比率も約10%削減につながるなど、効果が生まれているという。

あえて人手の作業を残した理由

 BtoCの出荷ラインでは、全ての出荷作業を自動化するのではなく、あえて人手を使う作業を残している部分もある。最後の検査、梱包の段階だ。人の手で丁寧に商品を詰めることで「人肌感」を残すことを意識した。また、商品と商品の間にはさむ緩衝材は、最終的にはごみとして処分されるものであるため、顧客にとっても少ない方がいい。緩衝材を極力使わないようにするための商品の詰め方も、人の方が機械よりも適切に判断できるだろうと考えたという。


検査、梱包の段階など、あえて人手を使う作業を残した部分も

物流DXの根底にある考え

 オルビスで物流拠点のDXを進めてきたロジスティクス管理グループのマネジャーを務める柳田和宏さんは「省人化自体が目的ではなく、安定してお客さまに商品を届けるために、サステナブルな物流体制をいかに作るべきか、という考えが根底にあった」と話す。

 オルビス物流拠点のDXプロジェクトでロボットの導入を含むマテハン・システム全般の企画提案を行った流通サービス・営業部 営業企画グループ グループマネージャーの佐藤正晃さんは「省人化、自動化を目指すというよりは、作業をする人が以前に比べて楽になったと実感できるような、作業の在り方そのものを変えることが目標だった」と振り返る。その上で「物流はテクノロジーのかたまり。今後も新たな技術で、物流現場をよりよいものにしていきたい」と話した。


通販向け出荷作業の主要拠点「オルビス東日本流通センター」(オルビス提供)

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