インタビュー
「異業種×本屋」でどうなった? ホテルに「風呂屋書店」をオープンして、見えてきたこと(2/4 ページ)
札幌市のホテルに「風呂屋書店」がオープンして1カ月が経過した。書店が減少する中、“異色本屋”の現状を聞いた。
宿泊客の新たな行動パターンを生んだ
風呂屋書店は、もともと2階のマッサージコーナーだったスペースを改装し、約2500冊を取りそろえた書店として生まれ変わった。3つの個室を備え、無人運営でコストを抑えながら、新たな顧客体験を創出している。
同ホテル採用広報室長の大島彩乃さんによると、利用者の約9割を宿泊客が占め、「当初は全く売れないと思っていたが、予想以上に売れている」という。特にチェックアウト時に購入する人が多く、滞在中に複数回足を運び、気に入った本を土産として選ぶという新たな行動パターンが定着しつつあるようだ。
売れ筋の中心は定山渓温泉や札幌に関連した本で、意外にも昔から親しまれる絵本もコンスタントに売れているという。選書については、約半数をDNPが担当し、宿泊客が「読みたくなる」ような品ぞろえに注力しているそうだ。
風呂屋書店は、大浴場と同じフロアにあることから、湯上がりの待ち合わせ場所としても機能している。「これまではラウンジでスマートフォンを見る人が多かったが、最近は本を読む文化的な光景が広がってきた」(大島さん)
宿泊者向けアンケートでも、同ホテルで最も気に入った場所として風呂屋書店を挙げる声が多く寄せられているという。
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