インタビュー
「異業種×本屋」でどうなった? ホテルに「風呂屋書店」をオープンして、見えてきたこと(3/4 ページ)
札幌市のホテルに「風呂屋書店」がオープンして1カ月が経過した。書店が減少する中、“異色本屋”の現状を聞いた。
「本好き」従業員のエンゲージメントが向上
風呂屋書店をオープンしたことで、波及効果も生まれている。本好きの従業員が書棚の整理や管理を積極的に行うなど、エンゲージメントの向上にもつながっているという。新卒の採用活動においても、宿泊施設内に書店があるという独自の取り組みが学生から関心を集めており、差別化要因として機能しているようだ。
風呂屋書店では今後、独自の付加価値を高めていく。11月下旬には、イラストレーターの作品展示会と絵本のコラボイベントを予定している。「もともと宿泊施設は四季の表現や、その土地の歴史・文化を大切にしてきた。それを本を通して表現していきたい」と大島さんは語る。
DNPによると、風呂屋書店の開業後、ホテル業界に限らず多様な業種から問い合わせが相次いでいるという。「ホテル業界や観光業のほか、オフィスや公園など、当初想定していなかった業界からの引き合いもある」とDNPの読書推進部書店企画課課長の増井絵美さんは語る。
今回の書店開業支援サービスの特徴は、「信任金」(取引保証金)が不要な点だ。従来、書店をオープンする際に、取次との取引に必要とされていたもので、これが不要になるということは、初期コストが抑えられることになる。
さらに、グループ内に丸善ジュンク堂書店などがあり、書店運営のノウハウを持つDNPが、コンセプト設計から選書、仕入れまでをサポートすることで、異業種からの参入障壁を下げている。
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