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ファミマとセブンが「伊藤忠化」する――? 経営陣による「9兆円」MBO、日本史上最大の企業買収劇のゆくえ(2/4 ページ)

コンビニ業界の勢力図はどうなる?

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独占禁止法のハードルも?

 市場がMBOの成立について半信半疑なのは、「資金が用意できるか」という理由以外に、独占禁止法上の懸念もある。

 伊藤忠商事はファミリーマートを実質完全子会社としている。今回のMBOが成立した場合、セブンイレブンの持ち株比率は30%程度になるという見方が強いものの、国内コンビニ大手3社のうち、2社が同一資本の関与の下に置かれることは、市場の競争を過度に制限する可能性がある。


伊藤忠商事はファミリーマートを実質完全子会社としている

 公正取引委員会(公取委)としては、このMBOが実現した場合、独占禁止法の観点から厳格な審査を行うことが予想される。公取委は、取引が市場競争に与える影響を精査し、必要に応じて条件付きの承認や取引差し止め命令を行う権限を持つ。

 ファミリーマートとセブン-イレブンの連携が進むと、商品供給や物流の効率化が期待される一方で、市場での価格競争が減少し、消費者に不利益をもたらすリスクもある。

 今回のMBOが独占禁止法に抵触するかどうかは、今後の公取委の審査などにも左右される。ただし、MBOが成立しなかった場合、クシュタールによる企業買収が行われ、影響力が高い日本企業が外国企業に買われてしまうというリスクも残る。

 政府や規制当局としてもこの問題には慎重にならざるを得ないだろう。

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