気が重い「督促業務」をデジタル化、未回収率50%→1%に 「血を流しながらやってきた」スタートアップの挑戦(1/5 ページ)
ある保育園が「債権督促」ツールを導入したという。背景にあるのは心理的負担と、あるスタートアップの挑戦だ。
筆者プロフィール:斎藤健二
金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。
埼玉県・千葉県・東京都で認可保育園を運営するALTA(さいたま市)はこの9月、未納保育料の支払いを自動で督促するSaaSの導入を決めた。保育園が「債権督促」ツールを導入したのは、どのような背景があったのか――。
実は、銀行や消費者金融向けの債権管理システムが、金融業界の外へと活用の場を広げている。
債権管理・督促回収の自動化ツールを手掛けるスタートアップLecto(東京都港区)が提供するシステムだ。
保育園での保育料徴収から、自治体の新型コロナウイルス関連融資の返済管理まで。人手不足に悩む現場で、督促業務のデジタル化が動き出している。
「職員の心理的な負担も増加していた」
ALTAは1都2県で30の認可保育所および小規模保育事業所を運営している。同社が督促システムの導入に踏み切った背景には、急激な事業規模の拡大がある。既存のシステムでは請求金額の計算に不具合が生じ、会計システムへの不規則な情報入力が増加。スムーズな保育料請求が難しい状況に陥っていた。
「保護者のみなさまに正確に連絡するために最大の注意を払いながら業務を行っており、職員の確認作業の工数や心理的な負担も増加していた」と同社は説明する。Lectoの小山裕社長は「人を預かる仕事をしている中で、お金の管理は後回しになりがちだ」と指摘する。
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