松井証券×JCBが挑むクレカ積立 赤字は避けられないのに、なぜ勝負するのか:「ポイント経済圏」定点観測(4/5 ページ)
投資信託のクレカ積立市場に、ネット証券最後発の松井証券と、大手カード会社で唯一参入していなかったJCBが参入する。「採算がとれない」といわれている市場に、なぜ参入したのか。背景を取材すると……。
インデックス全盛の逆を行く、富裕層開拓の勝算
投資信託市場では、低コストインデックスファンドの存在感が際立つ。三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は純資産総額が5兆7696億円に達し、16年ぶりに国内公募投信の最大規模を更新した。同社の「eMAXIS Slim 全世界株式」、いわゆる”オルカン”もNISA口座で最大の人気を誇る。
証券会社系列の運用会社も追随し、SBI証券の「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」、楽天証券の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」など、信託報酬を極限まで抑えた商品が相次ぎ投入され、低コスト競争が激化している。
松井証券の戦略は、この業界の主流とは一線を画すものだ。「インデックス投資だけでは満足できないという投資家が多い」と増田氏は同社顧客層の特徴を説明する。
若い資産形成層は低コストインデックスを主に利用するのに対し、投資に慣れた熟練顧客はアクティブ投信を嗜好(しこう)する人も多い。実際、他社からの入庫(口座移管)は増加傾向にあり、「移管されてくる投資信託のほとんどがアクティブ型だ」(同)という。他社でクレカ積立を利用している投資家の中から、より還元率の高いサービスを求める層の取り込みを狙う。
JCBのプレミアム券種の主要顧客層とも、この戦略は相性が良い。月間5万円以上のショッピング利用で最大1.0%の還元率が適用されるプレミアム券種。「当社としてもプレミアムカードの会員獲得につながることを期待している」とJCBの山氏。カード会社側も、アクティブ投信を選好する富裕層との接点拡大に期待を寄せる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
三井住友カードのクレカ投信積立で“大改悪” 5大ポイント経済圏の最新動向
企業が発行するポイントが消費活動に欠かせないものになってきた。多くのユーザーが「ポイ活」にチカラを入れているようだが、企業側はどのような囲い込みを図っているのか。最新動向をまとめてみた。
コンビニポイント戦争勃発 セブンVS.ローソン、業界の勢力図はどうなる?
クレジットカード会社と通信大手による新たなポイント経済圏競争が激化している。大手コンビニチェーンを巻き込むことで、未来はどうなる?
楽天、PayPay、Vポイント 国内2.5兆円市場を制するのはどこか
ポイント経済圏が日本の消費行動を大きく左右する時代になった。J.D.パワー ジャパンが実施した調査をみると、各社の現状と課題を浮き彫りにしている。具体的には……。
アプリ統合で反転攻勢 「楽天ペイ」の“現在地“は? ポイント経済圏の行方
楽天ポイントという最強のポイントを持つにもかかわらず、リアル店舗での決済ではいまひとつ出遅れ感もあった楽天ペイ。反転攻勢に出ようとしているが、どのように?

